内容紹介

悪女か、賢帝か――。知略、謀略を尽くして帝国「唐」の権力を奪取、中国史唯一の女帝に上り詰めた生涯を鮮烈に描く歴史大作。

おすすめポイント

中国史上、唯一の女帝に上り詰めた則天武后(武則天)の生涯を描く歴史小説!

稀代の悪女か、それとも叡智に富む賢帝か――。唐代初期、武将で材木商の父のもとに生まれた武照(後の則天武后)は、いかにして後宮から、帝にまで上り詰めたのか。

複雑怪奇な宮廷の権力争いの中で、様々な謀略、知略を駆使して次第に権力を握っていく過程を、鮮やかな筆致で描き出す。本書の原稿を最初に読んだときは、とにかく激しい衝撃を受けました。唐初期の人で、中国史上唯一の女帝、そして稀代の悪女という、教科書的な知識はあったのですが、その個性までは詳しく知らなかったからです。

則天武后(あるいは武則天)として広く知られる主人公・武照は、幼少の頃からその美貌と賢さで周囲からも注目を集める存在だったようです。読者もそのキャラクターに惹かれると思います。

ところが、その才が認められ、下級女官として後宮(大奥のようなもの)に入ってから、雲行きが怪しくなります。権力に取り入り、ライバルの女性を蹴落とすために、あの手この手を使うのですが、これが怖い。

ネタバレになるため、詳しく書けませんが、目の上のコブだった皇后をワナにはめようと、「そんなことまで、やるのか!」という凶行に走ります。しかも躊躇なく。その後に至っては……このあたりでやめておきます。

人間はこれほど残酷になれるのか、そして、そこまでして固執した権力はいかに虚しいか、を読み取れる意味で、深みある作品です。同時に、波瀾万丈の物語はエンタメ要素も溢れます。お薦めの歴史大作です。