その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はイ・ユンギュさんの 『私は合格する勉強だけする』 です。

【はじめに】  だれでも一度は夢のために勉強する

 学生時代、私は世間知らずだった。「やりたいこと」と「やるべきこと」の区別がまったくついていなかった。
 ゲームに夢中になり、学校の代わりにインターネットカフェに「登校」する日のほうが多かった。
 そんな私が「無事」に法学部に進学したとき、両親はこれでもう安心だと思ったかもしれない。でも私は、「勉強する」と言っては、相変わらずインターネットカフェやゲームセンターに出かけていき、ほとんどの時間をゲームに費やしていた。
 進学後、両親の監視の目から逃れた私にとって、「考試生(コシセン)」[司法試験や公務員試験などの試験準備をしている人のこと]という呼び名は、それまで思う存分にできなかったことが自由にできるようになる肩書きのように思えた。

 変化のきっかけは不意に訪れた。

 放蕩な生活のせいで大学から除籍されたのだ。除籍通知を受けて1週間後には、兵役の召集令状までがきた。当時の私は、ゲームにばかり没頭していたが、夢がないわけではなかった。
 韓国でいちばん難しい試験と言われる司法試験に合格したかったし、弁護士になって貧しい人々を助けたかった。でも、そのときに私が抱えていた問題は除籍と召集令状だけではなかった。
 ちょうどそのころ、司法試験の廃止と法学専門大学院[ロースクール、韓国の法曹養成を目的とする大学院課程]の導入が決まったのだ。
 私の成績では法学専門大学院への進学は不可能だったので、そのままでは弁護士になりたいという夢は永遠にかなわないかもしれなかった。

 そのときになって、強く思った。最後に残されたチャンスをつかむために、夢をかなえるために、私は真剣に「勉強」することを決意した。

夢をかなえるために勉強を選んだあなたへ

 きっと、だれでも一度は、夢をかなえるために試験を受ける。夢は人それぞれ違うので、試験を受ける理由もさまざまだ。昇進するためや給料をあげるため。あるいは、子どもたちに勉強を教えたい、苦労する両親をよろこばせたい、立派な人になって世の中をよくしたい、悔しい思いをしている人たちを助けたい、友だちや家族に自慢したい、などなど。

 人はそれぞれ異なる性格と個性をもっているので、夢の形も異なるが、夢をかなえたいという切実な気持ちだけは共通している。

 大学を除籍されそうになって初めて自分の夢に気づいたのは人より遅かったが、「夢をかなえたい」という切実な思いの強さは私はだれにも負けなかった。夢に挑戦すると決めてからは、食事したり寝たりすることから、教材を選択し、本を読んで、問題を解く順序まで、24時間すべての照準を「合格」に合わせた。
 不思議なことに、そんな私を見た周囲の人には、すでに試験に落ちたかのように気の毒がられた。私の勉強方法が、ほかの多くの受験生たちがする従来の方法とは違っていたからだ。ところが、実際にふたを開けてみたら、私は合格し、彼らは再試験を準備するはめに陥っていた。
 彼らのほとんどは、あまり考えもせずに、大多数の人がするやり方を踏襲して勉強していた。その方法が自分の受ける試験に合っているかどうかも考えずに。

 ここで私が伝えたいのは、合格したければ絶対に、「ただ漫然と」勉強してはいけないということだ。私は自分が試験勉強をするときに、「これは合格するための勉強法なのだろうか、挑戦する司法試験に合ったやり方なのだろうか」とかなり悩んだからだ。

 方向性の合わない努力は、どんなにたくさんしてもむだになるだけだ。
 私は、若さと人生を浪費する例をあまりにも多く目にしてきた。私の方法が絶対に正しいというわけではない。しかし、夢をかなえたいと思って試験に挑戦するなら、合格に至る方向に進まなければならないのだ。それこそが、私がYouTubeを通して勉強法について語り、その内容をもとに本まで出すようになった理由だ。
 本書は、夢をかなえるために「試験勉強」という「手段」を選択した人たちのためのものである。

 韓国には、大学修学能力試験[日本の大学入学共通テストにあたる]、公務員試験、5級公務員定期採用試験、裁判所行政試験をはじめ、法務士試験[日本の司法書士試験にあたる]、弁護士試験[日本の司法試験にあたる]、弁理士試験など各種国家資格試験まで、夢の関門となる試験が数えきれないほどある。
 このような試験に合格するには、知識の向上のための「勉強」ではなく、点数獲得を目指す「試験勉強」が必要だ。その意味から、本書では勉強と試験勉強を別のものとしてとらえている。

 真理を追い求める方法や学問的観点から知識を深める勉強法を望む読者には、本書はあまり役に立たないだろう。この本は実用的な側面から、どうすれば試験で点数をかせげるかを徹底的に説明するために書かれているからだ。

 たとえば英語は、韓国のすべての人が勉強する代表的な科目である。ところが、実際に英語を勉強しているという人たちに会ってみると、なんのために勉強しているのかがよくわかっていないことが多い。
 彼らはみんな、
「英語は必要だから」
「勉強しなければならないから」
「英語が上手になりたいから」
 といった漠然とした考えで英語の勉強をはじめる。まるで、全員が同時通訳者や翻訳者になることが目標であるかのように。あるいは、文を読んでそれがどんな文型なのか、どんな意味なのかを完璧に知ってこそ、勉強をしっかりしていると感じるようだ。

 しかし、英語の勉強も、自分が何を目標にしているかによって具体的な勉強法が変わるし、変わらなければならない。就職の応募要件としてTOEICの点数が必要なら、英語の文章を完璧に翻訳したり、英語で流暢にしゃべったりできなくてもいい。ひたすら正解と誤答だけを見分けられればいいのだ。
 試験勉強も同じだ。
 ただ勉強するのではなく、試験に合格することを目標にしたのなら、試験問題を解くのに必要な知識を徹底的に身につけるという方向で努力する必要がある。
 それ以上を求めるのは、単なる欲であるだけでなく、適切な知識の習得をも妨げることになる。

確実に合格するには「試験に合わせた勉強法を見つけること」

 では、試験問題をうまく解くには、どのような勉強が必要なのだろうか。
 試験が求める正解のパターンに合わせて勉強する、というのがその答えだ。私はそれを「パターン勉強法」と呼んでいる。

 まずは試験のパターンを知らなければならない。そのためには、過去問の分析が役に立つ。過去問に精通すれば、範囲を決めて効率的に勉強できるよう、求められる知識をいくつかのタイプに分けることができる。

 次に、知識を習得(本書ではそれを「インプット」と呼ぶ)しなければならない。その際も、タイプ別のパターンに合わせて習得してこそ、より多くのことを記憶し、効率よく勉強を進められる。
 続いて、実際に問題を解きながら、それまでに習得した知識をきちんと出力(=「アウトプット」)できるよう訓練する必要がある。
 試験合格のカギは、出題された問題の意図に合わせて知識をアウトプットできるかどうかにかかっている。これも、それぞれのパターンに合わせて練習してこそ、高い確率で正解を見つけられる。

 このように、問題や答えをいくつかのタイプに分け、それに合わせて知識を入力(インプット)して出力(アウトプット)するパターン勉強法には、緻密な計画の立て方と実行法を知っていることが必要だ。
 本書では、パターン勉強法を100%実行するための計画から、教材の選定、とんでもない厚さの本でも丸暗記するインプット法、1秒で答えを見つけるアウトプット法まで、勉強の全過程を網羅している。
 さらには、ときどきやってくるスランプを克服するメンタル管理、勉強時間の増やし方、講義の聞き方など、受験生が遭遇する困難や、よく抱く疑問についてもあますところなく触れている。
 最初はテクニック的な話もたくさんするが、私が読者に伝えたいことは別にある。

 試験勉強においてもっとも重要なのは、勉強法ではなく心構えだということだ。「私は勉強をして本当に幸せになれるのだろうか?」―この問いに答えた上で勉強に臨んで初めて、「勉強法」の効果が発揮される。

 夢と幸せのために勉強することを選択したすべての人が、本書を通じて自分の選択に責任をもって臨めることを、心から願っている。
 そして、みなさんが試験という関門を突破して夢に少しでも近づくことができれば、私にとって何よりも大きなよろこびだ。


【目次】

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