そもそも、自分に合った「勉強の仕方」を見つけるのは難しい。9カ月で韓国の司法試験に合格したイ・ユンギュ氏は、やみくもに勉強するだけでは失敗をしてしまうと言う。大切なのは、どう「参考書」を攻略するかだ。新刊 『私は合格する勉強だけする』 の一部を抜粋し、紹介する。

きっちり整理された本は、勉強の妨げになる

 現代では、受験生たちは便利さを追求し、参考書の傾向が変わっている。登場したのは、薄くて、分かりやすく、整理された本だ。

 もちろん、受験生の不安は簡単に収まらないものだ。本は薄いだけだと意味がない。「すべてが盛り込まれている」参考書も多い。基本概念や理論だけでなく、各種問題とポイント整理のいずれもが1冊に入っている本が好まれる。一言で言えば、「よく整理されていて、おいしそうな本」だ。

 しかし、こういった参考書は、本当に役に立つのだろうか?

 ここで大切なのは、勉強というのは、内容を自分自身で整理したときにだけ意味があるということだ。

 勉強の対象となる知識と情報を整理して、配置し、要約する作業自体がまさに「勉強」なのだ。

 そのため、きっちりと整理と要約がされている本は、著者本人がその本を書きながら勉強した結果であって、受験生本人が勉強したのではないということを自覚しなければならない。

 私はそのような本で勉強をするのは、まるで料理人になろうとする人が手軽な料理を紹介するテレビ番組を見て料理の練習をするのと同じだと思う。短時間でたくさんの料理を食べることはできても、それと同じ料理をつくることは決してできないだろう。

 結局は、「基本概念だけでなく、各種の問題が集められ、ポイント整理まできちんとされたおいしそうな本」は、私たちが自ら整理して要約する(勉強する)機会を奪う本だ。

 最近、勉強している受験生たちを見ていると、きれいに整理された本だけを探し、それに目を通して「勉強した」と満足しているようだ。しかしそれは、自分自身で勉強対象を扱ってもいないのに十分勉強したと勘違いして安心してしまい、合格から遠ざかることだ。

自分で整理することが勉強(写真:Shutterstock)
自分で整理することが勉強(写真:Shutterstock)
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「薄い本」を買ってしまうと、自分で補強しなければならない

 受験生たちが好む本がもう一つある。それは、薄い本だ。短時間で総合的な内容を把握でき、繰り返し読むのに時間がかからないからだ。しかし、薄い本は反対に、最も勉強の負担になる本である。

 「分厚い」本に、勉強すべき知識の80%程度が載っているとしよう。では、一般的によく読まれる薄い本にはどのくらいの知識が載っているのだろうか? 本によって異なるが、普通は30~50%程度である。このような本で勉強をして、試験に受かることができるだろうか。

 残念ながら答えは「いいえ」だ。この点を受験生たちも分かっているので、インターネットや塾の講義で、不足している30~50%の知識を補おうとする。

どんな本を選べばいいのか

 私は、まず自分が受けたい試験の「合格手記」を探すことをおすすめする。本でもインターネットでもいい。それを見れば必ずと言っていいほど、推薦する教材の記述が含まれている。最も多くの合格者たちから推薦されている本を選ぶのが安全な選択だというのは言うまでもない。

 しかし、受験生にとって本は戦争に持ち出せる武器のようなものなので、自分に合わなければ意味がない。合格手記を見て本を選ぶのは比較的安全な方法だが、必ずしもそれに従う必要はない。

 参考書の選び方で一番いい方法は、合格者がその参考書を選ぶ際に、どのような点をより重視したのか、どのような理由で選んだのかを調べた上で、推薦されているもののなかから個人的に興味を引かれる本を選ぶことだ。いくらいい本でも興味が湧かないのでは、読まなくなって捨てることになる。

 もし、興味はあるが、すすめられている他の本より内容が足りないのであれば、足りない部分を自分で補って、あふれているならあふれた部分を切り取って使えばいい。

 私は司法試験の勉強をしながら、「興味」を基準に教材を選んだ。もちろん、ここで言う興味は面白さという意味ではなく、「知的な興味」のことだ。当時の私の選択基準は、著者が司法試験の合格者なのか、どのような問題に対する結論に説得力があるのか、この二つだった。

 そのようにして選んだのが1997年に刊行された本だった。私が合格を目指していたのは2010年の試験だったので、10年以上も前の本を読んで勉強していると、周りの受験生たちからは「大学院の準備をしているの?」と聞かれた。しかし、私はその本を信じ、まるでゲームをしているときのように夢中になって読みふけった。その後、9カ月という短い期間で合格することができた。

「自分の知的好奇心を満たす」面白いものを選ぶのが第一

 もう一度言うが、本を選ぶ上で一番に考えなければならないのは、知的な興味だ。試験勉強はただ数日や数週間で終わるわけではない。そのような点で、必ず長く読める本を選ばなければならない。興味を引かれる本を選んだら、その次は、この本を合格に導く完璧な武器にするという責任感を持つ必要がある。

 普通の参考書には、試験内容の80%程度しか書かれていない。これを自分で100%にするという考え方をしなければならない。

 どうすれば80%を100%にできるのだろうか。

 試験勉強をしていると、自分が選んだ本の他にも、役に立つ参考書や資料などに身近なところで出合う機会がある。私はこれらを積極的に活用することをすすめたい。一般的に、受験生たちは自分が選んだ本と教材以外のものをあまり見ないが、80%を100%にするためには他の資料を必ず見ることだ。

合格にはまず参考書選びが大切(写真:Shutterstock)
合格にはまず参考書選びが大切(写真:Shutterstock)
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(翻訳=岡田直子)

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真面目に勉強をするだけでは、本当の勉強とは言えません。「とんでもない厚さの本を丸暗記するには、まずは蛍光ペンの引き方を覚える」など、合格につながる勉強法を知りましょう。韓国で受験生の聖地だといわれる勉強系YouTubeを運営するイ・ユンギュ氏のメソッドが、ついに日本語でも読めるようになりました。

イ・ユンギュ(著)、岡田直子(訳)、日経BP、1650円(税込み)