『 森岡毅 必勝の法則 』(日経BP)、『 苦しかったときの話をしようか 』(ダイヤモンド社)で知られるマーケターで株式会社刀のCEO(最高経営責任者)の森岡毅さん。テーマパーク「ジャングリア沖縄」を手掛けたことでも注目を集めているが、その言葉に背中を押され、不安を行動のエネルギーに変えてきたのが、タレントで俳優の新山千春さんだ。彼女が深く共感したのは、森岡さんの「思考と行動を前に進める言葉」。その言葉の力を、具体的にみていく。
「森岡毅の言葉」はなぜ心に響くのか
いろいろな方の言葉がある中でも、なぜ森岡さんの言葉が新山さんの胸を打ったのでしょうか。
森岡さんの言葉には、ご自身のことだけでなく、周囲の人をとても大切にされている姿勢があるからだと思います。森岡さんは折に触れて、「目標を達成するためには、そのビジョンを仲間と明確に共有することが不可欠だ」と説かれていますが、その考え方の根底には、誠実さや人間味がにじんでいて、とても共感を覚えます。
最近は、SNS上でのフォロワー数や人脈の“見える化”によって、人を数値やつながりで評価する空気に、少し疲れてしまうこともあります。でも森岡さんの本を読むと、「人って、そういうもので判断すべきじゃないよね」と、自分が大切にしたい価値観を思い出させてくれるんです。言葉にできずにいたモヤモヤを、すっと整理してくれるような力があると感じています。
テレビ番組での森岡さんとの出会いを経て、プロダンサーとしての道を進み始めた娘・もあさんのことも、インタビューの1回目でお話しいただきました。森岡さんの言葉を受けて、その後、娘さんにはどんな変化があったのでしょうか。
私から見ても、まるで心が解き放たれたかのように、パフォーマンスに対する表現がぐっと自由になったと感じています。番組収録のあと、娘はアメリカでの短期留学に挑戦したのですが、周囲の環境に左右されず、自分のパフォーマンスに集中できるようになったようです。「不安なのは挑戦している証拠」--そんな森岡さんの言葉に励まされながら、「私はダンサーとして生きていくんだ」という覚悟が、自分の中にしっかりと根を下ろしたのだと思います。
そのときの思いを、彼女は今もインスタグラムにピン留めして残しているんです。森岡さんからいただいた言葉と当時の熱量が、自分の表現を映像として形にしていく中で、「これが誰かの生きる力になるかもしれない」と実感できた……そんな、初めての瞬間だったのではないかと感じています。
親子の会話にも変化はありましたか?
「もあのことを尊敬してるよ」「信じてるよ」といった、娘が前向きになれる言葉を、LINEなどでも意識してかけるようになりました。もちろん、彼女も自分のパフォーマンスを見て「まだまだだ」と落ち込んだり、もがいたりすることはあります。でも、そんな姿さえも今はいとおしく感じられて、「もあなら大丈夫だよ。自信を持って頑張って!」と、自然に声をかけられるようになったんです。
もし森岡さんにお会いしていなければ、私もまだ不安を手放せずにいたかもしれません。「やっぱり大学に行っておいたほうが……」なんて、どこかで思ってしまっていたかもしれない。そう考えると、森岡さんの本や森岡さんご本人との出会いは、本当に大きな意味を持っていたと思います。
部屋の壁に付箋がびっしり
森岡さんは『 森岡毅 必勝の法則 』(日経BP)や『 苦しかったときの話をしようか 』(ダイヤモンド社)でも、「その人の強みを活かすこと」の重要性を繰り返し説いています。新山さんから見た娘さんも、「自分の強み」を見つけられたと感じますか。
強みに関しては、今まさに彼女自身が模索しているところです。ダンスにもさまざまなジャンルがありますから、その中で挑戦を重ねながら、「自分の強みって何だろう」と自問し、自分と向き合う日々を過ごしているようです。でも、以前のように迷って立ち止まることはなくなりました。不安を燃料に変えて、自分の足で一歩ずつ前に進んでいる。そんな印象を受けます。
今はきっと、次のステージへの不安と向き合っている時期なんだと思います。よく寝る前にノートに目標ややるべきことを書き出していて、部屋の壁に付箋をびっしり貼っているんです。その姿を見るたびに、「ああ、着実に歩んでいるな」と、私自身も励まされるような気持ちになります。
以前は、そうしたことはされていなかったんですか?
間違いなく森岡さんの本や言葉の影響だと感じています。「目的を達成するために今、何をすべきか」「目標を達成するために大切な仲間と過ごすことを意識している」――そんな問いを一つひとつ掘り下げながら、自分自身と丁寧に向き合っている。将来の目標ややるべきこと、意識すべきポイントを付箋に書いて、部屋の壁に貼る姿を見るたびに、娘の中で何かが確実に変わったんだと実感しています。
思考と行動を導く、本質的なメッセージ
改めて、森岡さんの言葉の魅力とはどのようなところにあると思いますか?
どの言葉にも、意思の強さと優しさが込められていて、読むたびに立ち止まりたくなるフレーズばかり。一つひとつが、思考と行動を前に進めるヒントになっていると感じます。
そして、沖縄で開業した新テーマパーク「ジャングリア沖縄」についても、本の中で触れられていますよね。地球環境や不動産、施設や人材といったあらゆる要素の特性と強みを見極めながら、未来を総合的に設計していく。その森岡さんの視座の高さに、ただ圧倒されました。沖縄に暮らす人々や働く人たちのこと、さらに日本経済全体への波及まで視野に入れた構想であることに、強い感銘を受けました。この本を読んだ今、もし「ジャングリア沖縄」を訪れるなら、きっとそこから吸収できるものは何倍にも広がる。そう確信していますし、今からその日が楽しみでなりません。
取材・文/金澤英恵 構成/中山玲子(日経ビジネス編集)、長野洋子(日経BOOKプラス編集) 写真/稲垣純也
衣装協力/torugato、specchio



