内容紹介
生きるか死ぬかは、この嘘にかかっている。隠蔽、偽装、なりすまし、死んだふり――
「フェイク」こそ、進化の原動力!
ランの花を装い、風に揺れながら獲物を狙うカマキリ、
アリの幼虫の匂いをまとって巣に紛れ込み、餌をもらうアブラムシ。
戦略的に尾の先だけを黒く残した、真っ白な冬毛のオコジョ。
メスのふりをしてメスの集団に近づき、強いオスに気づかれないまま、
ちゃっかり交尾をするハネカクシ、ブルーギル(魚)、オオコウイカの"弱小オス"たち――
生きものはいかにして、周囲に溶け込み、他者になりすますのか。
植物への擬態でよく知られるのは昆虫だが、それだけにはとどまらない。
魚も、鳥も、爬虫類も、哺乳類も、そして人間も、日々、生き残りを賭けた"嘘"をついているのだ。
本書では、姿かたちの模倣だけでなく、音や匂いや行動までも駆使した、
多種多様な欺きの術(すべ)を、オールカラーの“現場写真”190点とともに紹介する。
うまく嘘をついた者だけが生き残る。動物と植物が見せる「フェイク」の技の数々に、
大胆かつ巧妙な駆け引きに彩られた、地球の生命の豊かな進化史が浮かび上がる。
【目次】
プロローグ 自然のなかの秘められた顔
1章 擬態のあり方はさまざま
擬態と呼ぶか、隠蔽と呼ぶか/果てしないシーソーゲーム/実戦に見るカモフラージュ/コピーという技術/「非シグナル」という概念/安上がりな警告/ミュラー型とベイツ型の擬態/生活のあらゆる場面で使える模倣/擬態の複雑さ
2章 風景にまぎれ込む
あらゆる形態のホモクロミー/青い地球、緑の地球/カラフルは成功のもと/イチかバチかの同色化/より巧みに姿を消す奇策/隠れミノとしての衣替え/春・夏・秋・冬コレクション/カニグモが色調を合わせるとき/カメレオンの不当な評判/光学効果/ひとつのテーマに変化をつける/タコはステルス戦闘機?/生きた彫刻/透明化政策/「局地的」にカモフラージュする技/ボロをまとってゴミを真似る
3章 変幻自在な植物がインスピレーションの源
藻類の衣装をまとう/コケになる方法/不在の葉/流れにまかせる葉のように/めざすは薄手のボディー/薄っぺらすぎて嘘っぽい?/どんな木でも矢に変える/蔓植物になりすます/棘の王冠/だまし絵のような樹皮/我逃げる、ゆえに我あり/肉食花/本物の花、偽物の花
4章 動物たちの「見せかけ」と「ハッタリ」
大きく見せればだましやすい/死んだふり/ニセの頭を差し向ける/思わせぶりな眼差し/競り合いの切り札/戦士の装い/ヒキガエルとミツバチ/擬態と人間の影響/毒のポーズが毒を作る/多様な状況に応じた模倣/味の問題/蝶のジャングルの掟/自力の模倣にまさるものなし/味覚擬態とは/実物以上に魅力的な餌/性的な欺瞞/夫、妻、そして愛人/より快適な暮らしのための性転換/無邪気な性愛詐欺
5章 擬態を問い直す
擬態は単なる人間の錯覚か/擬人化の作用/「アリゲーター」昆虫/ベイツ型擬態をめぐる議論/完璧さという落とし穴/種子のパラドックス/工業暗化の偽りの仮面?/エビデンスの蓄積
エピローグ 将来の「拡張された科学者」
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