『家族じまい・ひとりじまい 誰もがおひとりさま時代の終活最前線(日経プレミアシリーズ)』から、一日でも長く自立した生活が送れるように高齢者を支える、民間のサービスや自治体のサポートを紹介します。高齢おひとりさまが困る29場面とは。連載第1回目。

身寄りなき高齢者が助けを必要とする29場面

 老いが進むと、「おひとりさま」はどんな困難に遭遇するのか。自分自身が老いていく過程を予測するのは難しいものだ。でも、もしある程度の予測ができたら、将来どんな外部サービスが必要になるかが把握できるし、終活にも役立つ。
 参考になる資料がある。総務省が2023年に公表した「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書」。単身高齢者などを支援する民間サービス「高齢者等終身サポート事業」について、事業者が提供するサービスを「身元保証」「日常生活支援」「死後事務」の3つに分類した上で、29の項目に仕分けしている。
 この29項目はすなわち、高齢おひとりさまが助けを必要とする「29の場面」と言い換えられる。自分だったらどの場面で他者の支援が必要になるか。想像を膨らませながら読み進めてほしい。

自分が高齢者になった時にどのようなことで困るのか。事前に知っておけば備えることができる(写真:picture cells/stock.adobe.com)
自分が高齢者になった時にどのようなことで困るのか。事前に知っておけば備えることができる(写真:picture cells/stock.adobe.com)
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身元保証サービス(6場面)

 1つ目が「身元保証サービス」。病院や介護施設に入院・入所する際、終身サポート事業者が身元保証人になるサービスだ。身寄りのない高齢者の受け入れを拒む病院や高齢者施設は全国に存在する。入院費の未払いや死亡時に遺体を引き取る親族がいないためだ。
 厚生労働省は「身元保証人がいないことのみを理由に病院への入院や介護施設への入所を拒んではいけない」と通知しているが、受け入れ拒否は後を絶たない。
 終サポ事業者は身元保証人になるほか、体調が急変した場合の緊急連絡先になって病院に駆けつける。入退院の手続きや、死亡時の遺体の引き取りもサービスに含まれる。

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日常生活支援サービス(13場面)

 「日常生活支援サービス」は、高齢者が住み慣れた場所で自立した生活を続けるのを支えるサービスだ。買い物代行や掃除、洗濯などの家事援助、公共料金の支払いの手続き代行などが該当する。
 金融商品の解約や換金といった財産管理に関する行為も終サポ事業者に頼める。公共料金の支払いや、年金や預金通帳などの重要書類の管理などだ。お金が関わるサービスだけに信頼できる事業者を見つけられるかが重要になる。
 日常生活支援サービスについては、終サポ事業者は「1件あたり」「1時間あたり」などの単位で利用料を設定している場合が多い。契約者の年齢が上がると1回の料金が高くなる料金体系の事業者もある。契約時に料金体系を確認しておきたい。
 「派遣されるスタッフをある程度固定できるか」「預けた資金を管理する体制は適切か」など疑問点は契約前に解消しておきたい。

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死後事務サービス(10場面)

 「死後事務サービス」は、契約者が亡くなった後に発生する手続きの代行サービスだ。例えば死亡届の提出。家族や親族は死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村の窓口に死亡届を提出しないといけない。医師の「死亡診断書」と一緒に提出し、「火葬許可証」を取得する。
 こうした手続きを終サポ事業者が代行する。
 親族や知人への訃報の連絡や喪主代行、埋葬の手続きなども含まれる。遺品の整理や自宅の処分、年金の停止、身分証明書の返納にも対応する。事業者は契約時に「死後事務委任契約書」を作成して、契約者に説明することになっている。
 終サポ事業者の中には死後の対応と費用を「出納帳」にまとめて、遺族や遺言執行人の弁護士らに提出しているところもある。死後事務手続きがきちんと履行されたことを確認してもらうためだ。
 契約者が履行確認をできないのをいいことに対応を怠る終サポ事業者がいないとも限らない。
 契約履行をどう担保するのかも確認すべきポイントだ。

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 ライフステージによって必要になるサービスは異なる。イメージがつかみやすいように一覧表にまとめた。

 転ばぬ先の杖ではないが、おひとりさまの安心・安全のために、老いていく過程で助けとなる外部サービス・サポートを押さえておきたい。

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年間約160万人が亡くなる日本。家族の介護やみとりが当然でなくなり、いつかは誰もがおひとりさまの時代が来た。おひとりさまの最期に伴走する民間サービスや実家じまい、墓じまいの代行サービスの現場ルポ、老後資金使い切り術などの終活ノウハウを盛り込み、後悔しない「ひとりじまい」の心構えを提示する。

高岡憲人著、日経プレミアシリーズ、1100円(税込み)