累計20万部を突破したシリーズ最新作の 『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』 (藤吉豊、小川真理子著)では、試験やスキルアップのための勉強だけでなく、人生の学びとしての読書についても紹介しています。読書の達人が教える「読書のメリット」と「読書法」について、書籍から一部抜粋します。
読書で読解力、教養が身につき、自分の価値が上がる
「勉強法のプロは読書のプロ」といってもいいほど、勉強法のプロたちは本を読んでおり、また読書をすすめています。ここでは、名著100冊に複数出てきた、読書のプロたちによる「読書のメリット」と「読書法」をまとめます。
勉強法のプロたちが読書をすすめる理由やメリットをまとめると、次の通りです。
●文章力や国語力、読解力がつく
「文章能力や国語力は、勉強や仕事の基本です。この二つを鍛えるには本を読むこと。しかも膨大な量を読むことが一番の近道です」(茂木健一郎『脳を活かす勉強法』/PHP研究所)
●教養が身につく
「私たちは教養を深めれば深めるほど、自由な思考を手に入れることになるのです。しかもそれは読書をするだけで成し遂げられるのです」(小川仁志『7日間で突然頭がよくなる本』/PHP研究所)
APU(立命館アジア太平洋大学)学長で、ライフネット生命保険創業者の出口治明さんは、『本の「使い方」』(KADOKAWA)で、教養を身につける術として、「•『人』から学ぶ •『本』から学ぶ •『旅』から学ぶ の3つ以外に(略)ない」と述べ、さらに自身は「人生の5割は、本から学ぶ」と綴っています。
●頭を良くする
「本は読み方次第で、いくらでも、読み手の頭をよくしてくれます。いくつかの専門分野なら、読書による独学も可能です。読書は、いまも、わたしにとって最高の勉強法です」(小宮一慶『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
●自分の価値を上げる
「宝地図」「魔法の読書法」提唱者の望月俊孝さんは、メンターから教わったこととして、「自分の価値を上げていくこと」が大切であり、「その代表格が『読書をすること』『学ぶこと』そして、それを人生に応用すること」と『1%の人だけが知っている魔法の読書法』(イースト・プレス)に記しています。
「線を引きながら読む」か、「引かない」か
本を読むとき、大事なところがわかりやすいように「線を引く」という人もいれば、本を汚したくないから絶対に「線を引かない」という人もいます。読書のプロの間でも意見が分かれています。
●線を引く派
「迷ったら、まずはアンダーラインを引いておきなさい」という山口周さんは、アンダーラインを引く例として、「後で参照することになりそうな興味深い『事実』」「興味深い事実から得られる『洞察』や『示唆』」「洞察や示唆から得られる『行動』の指針」の3カ所に分ける、と述べています(『知的戦闘力を高める独学の技法』/ダイヤモンド社)。
「気になる箇所に線を引いたり、印をつけたりする習慣をつけておくと、内容の理解が一段と深まる。特に、難しい本を読むときに、この方法は有効だ」(平野啓一郎『本の読み方』/PHP研究所)
平野さんは、大切だと思う部分のほか、論理構造がわかるように接続詞などにも印をつけているそうです。
哲学や宗教に関する啓もう書で知られる白取春彦さんは『独学術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)で、本の文章に傍線を引く意味と効用について次の4つを挙げています。
(1)重要点を浮き立たせる。
(2)独自の主張の要点を明確にする。
(3)疑問点や問題点にしるしをつける。
(4)視覚的に印象づけて、内容を記憶に残す。
●線を引かない派
前出の出口治明さんは、同じ著書で「線を引いたり、マーカーで印をつけたり、付箋を貼ることもありません。(略)腹に落ちた内容は、わざわざ書き出しておかなくても、案外忘れないものです」と述べています。
●線を引くなら2回目、3回目に読むとき派
「(線を引く場合)1回目に読んだ際にいきなり線を引かないということです」(『東大教授が教える独学勉強法』柳川範之/草思社)
その理由は、線をたくさん引いてしまうと、あとで読み返したときに、どこが本当に大事なポイントなのかわからなくなってしまうからです。引くならば、2回目、3回目に読んだとき、「興味が引かれた部分」に引くのがよいと記しています。
どれが正解というのはありません。プロの意見を参考に、自分に合ったやり方でインプットするのがいいでしょう。
疑問を持ちながら読む、質問をしながら読む
本を読むときは、漫然と読むのではなく、「疑問」「質問」「目的意識」「疑いの目」を持ちながら読んだほうがいいとする勉強法のプロも複数いました。
「疑問」「質問」「目的意識」「疑いの目」を持って読むことのメリットは次の3つです。
(1)頭に入りやすい。
(2)記憶に残りやすい。
(3)書き手の考えが間違っている場合もある。
M.J.アドラーとC.V.ドーレンは、『本を読む本』(講談社)で、積極的な読書をするには「質問」をしながら読むことと述べ、次の4つの質問を挙げています。
(1)全体として何に関する本か。
(2)何がどのように詳しく述べられているか。
(3)その本は全体として真実か、あるいはどの部分が真実か。
(4)それにはどんな意義があるのか。
「『どうして、こうなっているんだろう?』『恐らく、こうなっているんじゃないか?』という問いを出発点にして、その問いに対する答えを得るためにインプットを行うと、インプットを楽しめるばかりでなく、効率も定着率も高まることで、結果的にストックも充実することになります」(山口周『知的戦闘力を高める独学の技法』/ダイヤモンド社)
「それ(小説)以外の、著者の解説や意見が入り込む余地のある本については、批判的な目をもって読む必要があります。なぜなら、その著者の主張が正しいかどうかはわからないからです」(水上颯『東大No.1頭脳が教える頭を鍛える5つの習慣』/三笠書房)
本書についても、ぜひ「疑問」「質問」「目的意識」「疑いの目」を持ちながら読み進めてください。
なお、読書法の中でも、多くの名著に出てきた「速読」については、『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』16位を参照してください。