内容紹介

「時代遅れ」と切り捨てたはずの化石燃料が、
ロシアのウクライナ侵攻で改めて脚光を浴びている。
何が起こっているのか。出口はあるのか。
日経の専門記者が、疑問に答える!

脱炭素/カーボンニュートラルが話題になる昨今、もはや化石燃料は時代遅れになったはずだった。
しかし原油や石炭の価格は一向に下がらず、2月末からのロシアのウクライナ侵攻を受けて、
さらに需要拡大の兆しを見せる。
また、EV(電気自動車)や再生可能エネルギーへの転換には多量の金属を必要とするため、
各地で資源争奪の様相を呈している。

時代は逆流し、グローバルな環境重視と脱炭素への取り組みは後退するのか。
本書では、エネルギーを中心にカオス=混迷状態に陥った資源の動きを追う。
「石油・シェールガス」「石炭・天然ガス」「金属」「食料」「ESG・環境投資」などについて
いま世界で何が起きているのかをわかりやすく解説する。

目次

プロローグ――脱炭素でも化石燃料に脚光の皮肉

第1章 原油のカオスが始まった
--世界の供給地図に異変
--米国で何が起きているのか
--石油メジャー、環境派への転身
--2050年の原油需要は?
--同床異夢の産油国

第2章 石炭、天然ガスの不都合な現実
--脱炭素でも石炭消費が増える矛盾
--米国が直面する石炭の現実
--資源会社と投資家の変化
--袋小路に入った天然ガス

第3章 金属もカオス時代に入った
--脱炭素でつながるコモディティー高騰
--銅が直面するジレンマ
--リチウムの争奪戦が始まった
--EV、再生エネルギーが生む連鎖
--鉱山が直面する環境と人権
--増幅する投資マネー

第4章 食料高騰のカオス
--肥料が危ない
--ロシア侵攻で高まる地政学リスク
--深刻化する異常気象

第5章 環境重視か資源確保か
--投資の変革とためらいと
--ダイベストメント礼賛論の死角
--試行錯誤、見えない正解
--環境重視の政府、企業に試練の時
--資源ビジネスに変革の足音

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