その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は深沢真太郎さんの『 数字にだまされない本 』です。
【はじめに】◎数字との上手なつき合い方を学ぶ旅
本書を手に取ったあなたはもしかしたら、日頃から「数字」に苦手意識を持っていたり、何かしらネガティブな印象を持っていたりするかもしれません。その理由の代表的なものが、「数字にだまされる」ではないでしょうか。
私たちは新聞やネットニュースをはじめ、日常のさまざまな場面で数字を目にします。その数字自体を“読む”ことはもちろんできます。
でも、その数字の“意味づけ”を間違えてしまうことがよくあるのです。
たとえば、ある作家の経歴に「著書累計100万部」と記載されていたとします。
この100万部という数字が意味するものはいったい何でしょうか?
売れた部数なのか市場に出た部数なのか?
国内だけか海外も含むのか?
紙の本だけなのか電子書籍も含むのか?
1冊だけで100万部なのか100冊で100万部なのか?
実際は、これまで延べ100冊を出版した作家で、電子書籍のダウンロード数と海外での出版も含めて市場に出た部数の合計が100万部であると定義していたのに、一方のあなたはたった1冊が国内で100万部も売れたと思い込んでいたら……。とんでもない思い違いをしていることになります。
これは笑い話で済むケースかもしれませんが、もしあなたが仕事や人生における重要な意思決定の場面においてこれと似た「とんでもない思い違い」をしてしまったら、とても笑えませんよね。
著者の深沢真太郎です。
日本でただひとり、ビジネス数学教育家として活動する人材育成の専門家です。専門分野はビジネス数学。簡単に申し上げると「数字に強い人材・組織を作る教育」のことです。まだまだ新しいテーマであり、それを広めることを使命としています。
デジタル技術が浸透した現代では、数字をうまく扱えることが必須のスキルになりました。デジタル技術を使うことで私たちはさまざまなものを記録できるようになったからです。それはつまり、これまでは不可能だったものもデータとして手に入ることに他なりません。
たとえば、そのことはプロスポーツの世界でも顕著です。
サッカーではボールポゼッション(保有率)が数字で把握でき、選手ごとに試合中に走った距離や出したパスの本数なども記録されるようになりました。サッカーのJリーグが開幕したのは私が高校生だった30年前ですが、その当時には考えられないことです。
このように今、私たちの周囲は数字で溢れ、当然、数字を読む機会も増えました。しかし、そこで私たちの前に大きな問題が立ちはだかります。「数字にだまされる」「数字にごまかされる」という問題です。
なぜだまされるのか? なぜごまかされてしまうのか?
それは、「数字を正しく読む技術」を持っていないからです。その技術とは、究極的には次の2つしかありません。
①数字そのものを読む技術
②数字を示す人の心理を読む技術
この2つの技術をお教えするのが本書です。
数字にだまされなくなることで、間違いや失敗が激減していきます。
だまされるということは、間違えるということです。それは社会を正しく眺めることができなかったり、仕事の大事な場面で判断や意思決定を誤ったりすることを意味します。
一般論ですが、間違うことはマイナスでしかありません。上司や同僚、部下の前で恥ずかしい思いをしたり、時間やお金などのロスを生んだり……。結果として自分の評価を下げるからです。
裏を返せば、数字にだまされない人になることで、仕事の評価が上がったり、「この人ちょっとアタマよさそうだな」と思われたりするわけです。悪くありませんよね。
最後に、大切なメッセージがあります。
本書のゴールは「数字にだまされない人」になるのではなく、最終的には「数字でだまさない人」「数字を使ってごまかさない人」になることです。
あなたに詐欺を持ちかけてきた人がいたとします。あなたは鋭い洞察力でその人物のウソを見抜き、だまされずに済みました。そのとき、あなたは「うれしい」や「ワクワク」といった感情になるでしょうか。ならないはずです。むしろ詐欺を持ちかけてきた相手に強い不信感を持つでしょう。だます人、ごまかす人は信用を失うのです。
ビジネスにおいては「信用」がとても大切です。信用のない会社とは取引しませんし、信用のない人間には誰も協力してくれません。
ならばビジネスパーソンはやはり、「だます。ごまかす」(あるいは「だました。ごまかした」と思われるような)行為は絶対にしないようにしたいものです。
私は数字にだまされない人生を推奨するのではなく、人からの信用を失わない人生をあなたに推奨したい。そう思っています。
そろそろ本編へ向かいましょう。
数字に苦手意識がある方でもご心配なく。事例やエクササイズも交え、楽しく読めるように工夫しました。
数字とのうまいつき合い方を学ぶ旅。ぜひ最後までお楽しみください。
2022年9月
深沢真太郎
【目次】



