内容紹介
日本のプロジェクト現場では、プロジェクトチームは心血を注いでプロジェクトに向き合い、ゴールを目指していますが、その努力が常にむくわれるわけではありません。たとえば、チームの自己犠牲的な努力だけでは解決できない状況も発生します。この窮地を救うことができるはずの組織が適切な対応をとれないのでは、プロジェクトはゴールを達成できません。また必死の思いでゴールは達成できたとしても、その成果が組織の収益やビジネス価値の向上につながらないこともよくあります。
このような状況に陥ってしまう組織は、プロジェクトに対する戦略的な取り組みを欠いています。そして、内部統制や工事進行基準、経営資源の効率的な活用やキャッシュフロー経営など、ここ数年の経営課題の多くは、プロジェクトに対するガバナンスの強化を求めています。
しかし、経営が現場寄りで行われてきた日本の組織にとって、これはそう簡単ではありません。だからといって、文化や価値観が異なる海外のベストプラクティスを鵜呑みにしてしまったのでは、もともとのよさが失われてしまいます。
「PMOやマネジメントプロセスなどのビジネス面の整備、それをかたちにするためのITの実装、いったい何から手をつければよいのだろうか」
本書は、このような現場優位という日本独特の事情を考慮した組織モデルを提案し、経営と現場をどのようにつなぎ、どう分離すればよいのか、それを考えていただくための糸口と具体的なイメージを提供しています。