内容紹介

史上最強の加速器「大型ハドロンコライダー」がジュネーブ近郊のCERNで完成し、2009年9月から本格的な運転に入った。それがめざすのは、最新の理論が予言する未発見の素粒子を確認すること。なかでも宇宙誕生期にすべての物質に質量をもたらしたとされるヒッグス粒子、別名「神の素粒子」をつくりだすことが第一の目標だ。
地下100メートルにつくられた全周27キロの加速器で、科学者たちは何をしているのか?それによって何がわかるのか?高エネルギー物理学を築いた研究者たちの素顔も紹介しながら、物理学の歴史的な経緯と最前線をわかりやすく解説する。

【主な内容】
 ■プロローグ「地下百メートルの巨大リング」
 ■概説「宇宙創造の秘密に迫る機械」
 ■第一部「見えてきた極微の世界」
      第一章 天地創造の秘密《デモクリトスからアインシュタインまで》
      第二章 万物の理論を求めて《ヒッグス粒子から超対称性理論へ》
 ■第二部「加速器に夢を託した人たち」  
      第三章 標的は金箔《ラザフォードの散乱実験が素粒子の探求に火を付けた》
      第四章 加速器の誕生と進化《原子核の秘密を追う狩人たち》
 ■第三部「加速器の開発競争」
      第五章 自然界を支配する四つの力《対称性を失った不調和な四重奏》
      第六章 大西洋を隔てたライバルたち《米国のテバトロンと欧州のSPSが競う》
      第七章 テキサスの土に埋もれた廃墟《超伝導スーパーコライダーの短い生涯》
 ■第四部「LHCを包む大きな期待」
      第八章 激突する粒子と粒子《大型ハドロンコライダーの建設》
      第九章 闇に潜む宇宙の住人《ダークマターとダークエネルギーの謎に挑む》
      第十章 ブレーンがひろがる世界《高次元世界への入り口》
      第十一章 極微のブラックホール《科学の栄光と世間の疑念》
 ■エピローグ「高エネルギー物理学の挑戦は続く」