内容紹介
「私は、我が国経営学の祖は、江戸時代中期の儒学者荻生徂徠であると考えている。経営を、ある目的を持った人間の組織を社会の中でどう運営していくかということと定義すれば、企業であろうが国家であろうが、現在であろうが江戸時代であろうが、その本質は変わるものではない。徂徠は、三百年前に、そのことを考え抜いたのである」著者は、徂徠の経営論の要諦を、祀(まつり)と戎(つわもの)と捉える。祀は求心力であり、戎は戦闘力である。その二つの要素が備わってはじめて真の経営となる。秀吉の朝鮮出兵である文禄・慶長の役の敗因分析や赤穂浪士討ち入りの是非をめぐる徂徠独自の見方を紹介しつつ、徂徠流の「礼楽の経営術」の詳細を明らかにする。