内容紹介

電話発明者をベルとする従来の電話特許史をくつがえす、新たに公開されたベルの研究ノート。ノートの解読、特許裁判での証言の詳細な解析と推理で電話特許の謎に挑んだポピュラーサイエンス読み物です。従来、アレクサンダー・グラハム・ベルが数時間の差でイライシャ・グレイよりも先に特許を出願し、発明者と認められてきたが、実はベルはグレイの出願日時を事前に知っていたとか、グレイの出願書類のコピーにより送話器の課題を克服したとかの、新しい事実の可能性を推理します。
これまで公開が制限されてきたベルの研究ノートによると、ベルは申請後もさまざまな試作機で実験を繰り返したがすべて失敗。それが2月26日から3月7日までのワシントン訪問後、突然、発明に成功しました。この発明品はグレイの特許申請書類にあった電話機のスケッチと酷似しており、長年、疑念が持たれる原因となってきました。著者は、ベルがワシントン訪問の際、後援者の弁護士らの協力で書類をのぞき見たとします。その証拠として、研究ノートに残された電話機の図が走り書きで、発明の具体的な経過がノートに記されていない上、ベルも経緯を明らかにしなかったことなどを挙げています。研究ノートの2月25日から3月7日のあいだの12日間の空白に秘められた謎を追いかけるノンフィクションミステリーです。