内容紹介

「ウォール街を占拠せよ」デモに代表される欧米の怒れる人々に火をつけたといわれているフランスで200万部を超えるベストセラー。「若者よ、無関心はいけない。怒りを持って行動せよ」と呼びかけたパンフレット。

著者は90歳を超えた元レジスタンス活動家のステファン・エセル。世界で不正義が横行しているなか、無関心でいる人々に対して、ナチに逮捕されて処刑される寸前に脱出した自らの若き日々を振り返りつつ、「世の不正義に目をつぶるな。行動を起こせ!」と訴えた32ページのシンプルな内容。

フランス国内で2010年秋に出版されると、若い人へのクリスマスプレゼントしてベストセラーになった。ドイツ、イタリア、スペインなど債務問題で揺れる国々へ波及し、欧州全域で300万部を超えた。

「戦後、フランスは社会保障制度や年金制度を創設し、特権者を排除した民主主義の理念を掲げたが、いまや社会保障制度はぐらつき、利益追求が横行し、報道の自由や教育の機会均等が脅かされている。

レジスタンスの動機は怒り。自由が回復した戦後になっても、フランスが植民地アルジェリアの民族独立を封じ込めようとしたアルジェリア戦争、社会主義を掲げながら自国や東欧を抑圧したスターリンの独裁政治など、怒りの種は尽きなかった。

いまの世界は相互依存が強く、わかりにくくなっているが、それでも容認できないことはたくさん存在する。貧富の格差拡大、人権、地球環境など、世の矛盾や不正義は周囲を見回せばいいっぱいある。だから、若者よ、怒れ!憤れ!」

エセルさん本人は、いまもパレスチナ問題の不正義に怒り、非暴力での解決のため奔走している。

著者略歴

ステファン・ハッセル
元外交官でレジスタンス活動家。1917年ベルリン生まれ。父は作家でユダヤ人。母は画家。1924年パリに移住。39年エコール・ノルマルに入学。第二次世界大戦ではロンドンでドゴールの自由フランスに参加、レジスタンス活動に入った。1944年パリに潜入してゲシュタポに逮捕され、強制収容所に送られるが、脱走に成功。1946年外務省に入り、国連で働く。世界人権宣言の起草に尽力、アルジェリア独立戦争では独立を支持した。