内容紹介

刊行にあたって
 昨今、LED照明機器は省エネルギーに優れ また長期に渡りメンテナンスのいらない照明機器として注目されている。光源となるLEDは、高出力化や演色性の改善などにより高性能化され従来の光源を凌駕しつつある。これらLEDを光源とする照明器具は住宅用照明を始め、オフィス照明、店舗照明、施設照明、検査機器照明、植物育成照明など多種多様の照明機器として利用されている。
 LEDは従来の光源と比べ小型、軽量、低電圧、低電流値、長寿命など多くの利点がある。しかし同時に狭小点発光に起因する眩しさ、照明ムラ、色ムラ、スカラップ、マルチシャドー、レンズによる色収差など新たな問題も多く発生している。
 LED照明機器の製作にはLEDチップ、電源回路、放熱などの最適化も必要であり、これらについて書かれた書籍も多数見受けられる。しかし同時にLEDから発せられた光をどのようにコントロールするかが最も重要な問題である。にもかかわらずLED照明器具の製造者側に立ち、光学的な理解を提供する観点から執筆された書籍が見受けられなかった。そこで主題を「LED光のコントロール」とした本書を企画した次第である。第1編でLED照明のプランニングとその利点を生かした種々のアプリケーション及びその特徴を紹介する。第2編ではLED照明の光学系設計、照明シミュレーション技術を紹介する。また第3篇ではLED照明の測定と評価法について、更に第4編ではLED照明機器に用いられる各種エレメントについて紹介する。もちろん従来の照明器具で用いられていたエレメントも使用可能ではあるが、本編では光の効率化や分布を整え高品位なLED照明とするためのユニークなエレメントを選択して掲載した。
 以上に述べたように本書はこれからLED照明機器の開発、製造や販売に参入する、或いは参入した企業の従事者を対象に光学的な視点からLED照明機器の全体像の理解、並びに技術向上に役立つ書籍である。更に各施設、店舗側にとってもLED照明機器の特徴を理解し、効果的に利用するために役立つことを目的とした。双方のLED照明に関する知識の一翼となれば幸いである。
 最後に本書の出版にあたり、共に構想をお考えいただいた光学設計家の牛山善太氏、美術館照明機器開発の佐久間茂氏、照明デザイナーの岡本賢氏を始めお忙しい中、各章をご執筆いただいた方々、並びに(株)シーエムシー出版の各位に感謝を申し上げる。

2012年9 月
関 英夫
(株)オプティカルソリューションズ 
代表取締役社長/光機能製品開発プロデューサー

著者一覧
関英夫  (株)オプティカルソリューションズ 代表取締役社長;光機能製品開発プロデューサー
岡本賢 Ripple design 代表
岡安泉 (株)岡安泉照明設計事務所 代表取締役
松川晋也 ヤマギワ(株) プランニングデザインスタジオ 東京スタジオ 東京TEC 東京スタジオ長;東京TEC室長
遠藤充彦 ヤマギワ(株) PDS:プラニングデザインスタジオ 執行役員 統括スタジオ長
佐久間茂 (株)キテラス 代表取締役
渋谷寛之 オプラックス設計事務所 代表取締役
秋間和広 シーシーエス(株) 技術・研究開発部門 光技術研究所 光技術研究セクション 主席技師 
宮坂裕司 シーシーエス(株) 新規事業部門 施設園芸グループ 施設園芸セクション
増村茂樹 シーシーエス(株) 技術・研究開発部門 主幹技師
牛山善太 (株)タイコ 代表取締役
稲畑達雄 (株)ベストメディア 商品開発部 取締役部長
岩永敏秀 東京都立産業技術研究センター 開発本部 開発第1部 光音技術グループ 主任研究員
中村広隆 東京都立産業技術研究センター 開発本部 開発第1部 光音技術グループ 副主任研究員
金井紀文 ナルックス(株) 設計開発部 オプト課 副主任研究員
松井宏道 三菱エンジニアリングプラスチックス(株) 第1事業本部 技術部
河井兼次 東洋紡績(株) 犬山フイルム技術センター
DetlefDuee  ALANOD GmbH & Co.KG Head of Business Development and Marketing
松井弘一 明拓工業(株) 代表取締役社長
株本昭 古河電気工業(株) エネルギー・産業機材カンパニー 産業機材事業部 MC製品部 技術開発部   部長