内容紹介

世界レベルの起業家である日系アメリカ人による痛快な起業家ストーリーと、低迷する日本で一番大きな問題の「発見」とその問題解決編。

両親が移民一世の家庭で1971年にロサンゼルスに生まれた著者は、英語は苦手だが、数学は抜群にできた。先生の勧めで当時は家1軒分の
高価なコンピュータを両親が買ってくれたおかげで、コンピュータの才能を10代前半で一気に開花させる。

16歳のとき、飛び級でカリフォルニア大学リバーサイド校に入学。NEC、ソニー、東芝など日本メーカー向けのパソコンのビジネスに本格的に取り組み、ベンチャー起業家の道へ入る。

何度も失敗、挫折を繰り返したあと、ソニーと共同開発した指紋認証装置がヒットし、その後に開発した生体認証暗号システムがマイクロソフトに採用されて
事実上の世界標準となる。2003年、従業員500人の会社をマイクロソフトに売却して、拠点を日本に移した。

日本ではスタートアップ段階の企業十数社の面倒をみて、ドバイなどに事務所を設置し、世界的な視野でイノベーションとベンチャー育成に取り組んでいる。
その傍ら、国会の福島原子力発電所事故調査委員会事務局や国家戦略会議の部会メンバーとなり、日本復活のための問題解決を模索し、独自の視点から意見を発表している。

著者によれば、少子高齢化、人口減少、経済成長鈍化、デフレなど目に見える課題が山積の日本だが、最大の問題は目に見えない「チームの不在」であるという。
イノベーション、アントレプレナーシップ、リスクコントロールは、異質な人材が共通の夢や目標のために力をあわせる仕組みであるチームから生まれる。

個人主義といわれてもチームで人を鍛えるアメリカ社会と比べ、日本では特に社会のリーダー層の個人主義化がますます進んでいる。現状のままでは、国内でも海外でも
チームをつくることができず、競争から脱落するしかない、と警鐘を鳴らす。

アメリカなどでの知名度が高く、実績も世界レベルの日系人起業家のユニークな自伝と問題提起を兼ねたビジネス書。

著者について
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。高校時代にI/Oソフトウェアを設立。テレビ会議システムなどで失敗したあと、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年、会社をマイクロソフトに売却。日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。ドバイなど世界3カ所にオフィスをもち、
有望なスタートアップ企業14社を育成している。1998年にアーンスト・ヤング主催のアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー米国大会でヤング起業家賞を受賞。2012年に国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の最高技術責任者と国家戦略会議フロンティア分科会「繁栄のフロンティア」分科会委員を務める。
著書に“An Unprogrammed Life: Adventures of an Incurable Entrepreneur"。