内容紹介
前著『戦略と実行』では、グローバルな競争でさえない姿を見せる日本企業について、「リーダーシップが足りない」「いや組織がおかしい」などと言う前に、本当に実行しようとする戦略の目的が社員のあいだで共有できているのか、トップの指示やメッセージが、考えた通りに受け手に伝わっているのかなど、戦略実行の前提となる組織内のコミュニケーションに焦点を当てて分析しました。
組織内のコミュニケーションによって目的、価値観を共有することがなぜ大切なのかを突き詰めると、「責任」という問題が浮上してきます。責任という言葉は頻繁に使われていますが、
深く考えられて使われているわけではありません。
「無責任」「責任の所在が曖昧」「誰も責任をとらない」--通常、責任という言葉は、結果を出せなかった理由、あるいは言い訳に言及するときに使われます。トップも現場も頑張っているのに、
なぜか組織に「無責任」が蔓延し、犯人探しにエネルギーを使っている会社や組織が多いようです。
「組織における責任」とは何んでしょうか。「責任を持つ」組織とはどういうものでしょうか。「責任の所在が曖昧でなかったら」、あるいは「誰かが責任をとれば(クビになれば)」、組織は成功するのでしょうか。
東日本大震災や電機産業の凋落などで観察された日本の組織の根本問題に経営学の観点から切り込んでいます。