内容紹介
■社会転換期におけるビジネスのキーファクターを知る社会が大きく変わる転換期において、有望視されるビジネスに企業が殺到するとき、
その激流に対応して生き残るためには、何を知っておくべきなのか。それが本書の
テーマである。19世紀のゴールドラッシュで成功した起業家は、自分で金鉱を掘る
のではなく、「金鉱掘り」を掘ることを基本的な戦略とした。史実に名を残すような
起業家は、金鉱掘りで成功したのではなく、その周辺ビジネスで利益を上げた人が
ほとんどだった。1990年代後半から進行した「IT革命」でも、ゴールドラッシュと
似た状況が生じた。インターネットの可能性を皆が感じ、こぞって参入しながらも、
多くの企業が「金鉱」の場所に確信が持てなかった中で、「これから起こる変化」を
読み切った企業が勝ち残った。今まさに進行中の「グリーンラッシュ」においても、
同じことが言える。本書は、古今東西の学者やジャーナリストによる分析や指摘を
豊富に紹介し、社会転換期におけるビジネスのキーファクターを知ることができる。
■「新しいゴールドラッシュ」の全体像を解説
グーグルが電力事業に参入し、インテルが風力発電に取り組み、ペイパル創業者が電気
自動車(EV)のメーカーを創業するなど、ITビジネスの勝者がグリーンビジネスに殺到
している。グリーンラッシュは、世界中の企業と人々を巻き込みながら広がっていく。
本書は、その全体像をわかりやすく解説する。
■「3つの修正」と「競争優位の維持」を両立する基本
グリーンラッシュに対応して勝ち残るためには、従来の価値観を修正する必要がある。
リーマンショックや福島第一原発事故を経て、人々の意識が変わってしまったからだ。
その変化とは「飽くなき収益追求の修正」「集中型システムの修正」「『規制は邪魔者』の
修正」の3つだ。一方で企業にとって「競争優位」を維持することは、引き続き重要な
テーマである。本書は、「3つの修正」と「競争優位の維持」を両立する基本を解説する。
著者について
尾崎弘之(おざき・ひろゆき) 1960年生まれ。1984年東京大学法学部卒業。ニューヨーク大学MBA、早稲田大学大学院博士後期課程修了、博士(学術)。野村證券米国現地法人、モルガン・スタンレー証券バイス・プレジデント、ゴールドマン・サックス投信執行役員、ディナベックCFOなどを経て、2005年から東京工科大学大学院ビジネススクール教授。主な著書に、『環境ビジネス5つの誤解』(日経プレミアシリーズ)、『次世代環境ビジネス』(日本経済新聞出版社)、『投資銀行は本当に死んだのか』(同)、『バイオベンチャー経営論』(丸善)がある。環境省委員、研究・技術計画学会理事、経済同友会会員