内容紹介

■若者が生み出す新しいうねりを調査・分析し、消費の未来を予測する。

 若者は消費しなくなった。この数年、日本では言われ続けてきたトレンドです。テレビや新聞、雑誌などのメディアでは、「若者の○○離れ」という言葉を用いて消費に消極的な若者を奇異な存在として取り上げるスタンスが目立っています。少子化で人口ボリュームも減っていく若者は、消費者として魅力的ではない--。そんな声すら上がります。

 でも、本当にそうでしょうか。実像は違います。消費しない若者の姿は、高度経済成長期やバブル期を生きてきた上の世代の“常識”に当てはめた見方でしかありません。昔も今も、若者が消費のトップランナーの役割を担っていることに変わりはないのです。若者世代の生活や消費のスタイルを研究・分析することは、上の世代はもちろん、次代の若者による消費動向を探ることにもつながります。つまり、若者を知ることは、未来を知ることと同義なのです。これは、企業が新しい価値を生み出す際に重要な役割を果たします。

 今を生きる若者を表すキーワードは「スマート」であること。長引く不況の最中を育ってきた日本の若者は、「賢く、堅実な消費者」に変貌を遂げています。少しでも効率が良い選択をし、身の丈に合った商品を選び、ソーシャル・メディアを介して生まれる共感を重視する。本レポートでは、こうした新しい視点の若者の消費トレンドを提示します。

 筆者の原田曜平氏は、気鋭の若者研究者。多くの若者と対話することを通じながら新しい若者論を構築する人物です。所属する博報堂では、大学生のメンバーを中心にした「博報堂ブランドデザイン若者研究所」のリーダーを務め、若者たちと協働しながら「若者の生の声」を取り入れたトレンドや消費性向の研究分析に取り組んでいます。

 その活動は、日本だけに留まりません。経済成長が著しい中国や東南アジアの若者とも現地に足を運んで対話し、その消費動向を探っています。ソーシャル・メディア時代が深まるにつれ、世界の若者の消費スタイルは次第に近づいています。本書では、アジアを中心に世界の若者が生み出す新しいうねりを捉え、消費の未来を提示します。現場の生の声に根差した斬新な視点は、新商品や新サービスの企画、経営戦略を考える際の大きなヒントになるでしょう。