内容紹介

伝説のハッカー、ポール・グレアム率いる起業家養成スクール「Yコンビネーター」の3カ月密着したノンフィクション。若き起業家との熱い交流を描く!


合格率3%の難関を突破して集まった、64チーム、160人に若き起業家の卵。スタンフォード、MIT、UCバークレーといった世界トップ大学の俊英ばかりだ。超一級の頭脳と優れたアイデアがあっても、それだけでは起業は成功しない。数百人の投資家を前にプレゼンし、投資されるかどうかが決まる運命の日「デモ・デー」に向けて、ポール・グレアムの特訓が始まった。

「急いでローンチしろ」「市場が君たちをクビにする」「セールスアニマルになれ」「常に成長率に目を光らせろ」「他の連中より真剣に考え抜いた点だけが優位性になる」--厳しい言葉をあびせながらも、アイデアがビジネスになるまで徹底的に一緒に考え抜くのが、ポール・グレアムだ。彼らを追い込み、本物に育つビジネスを手にさせるために、決して手を抜かない。リスクは自分でとるものだからだ。

市場が見えずに苦しみ、アイデアのピボット(方向転換)を余儀なくされ、意欲あるメンバーの確保に悩み、時間のなさに焦り、同期生の進捗に気になりながらも、進むしかない起業家たち。デモ・デーでプレゼンを成功させることがはたしてできるのか。不安を抱えつつも、グレアムをはじめYCパートナー(共同運営者)たちと議論を繰り返すなかで、たくましく成長していく。

学期の半数のスタートアップが失敗すると言われる現実にあっても、グレアムは決して見放さない。
「何かまずいことがあったらすぐわれわれに言うんだ。われわれはスタートアップを襲うさまざまな災厄を数多く見てきた」
自分自身も29歳で起業し、一度は完全に失敗し、それでも再び同じ仲間と起業し成功を手にし、自分たちと同じ轍を踏まない道はないかと、Yコンビネーターを立ち上げた。"実験"であると同時に、ソフトウェアが世界にイノベーションを起こすことを信じる彼らの強い信念がそこにはある。

<推薦の言葉>
シリコンバレーで数多くのスタートアップにシード資金を提供しイノベーションの量産に成功しているYコンビネーターはアメリカの至宝だ。
--エリック・リース『リーン・スタートアップ 』著者

本書はシリコンバレーのスタートアップ・エコシステムの核心を内側から見た貴重な記録だ。
--マーク・アンドリーセン、アンドリーセン・ホロウィッツ共同創業者、ネットスケープ共同創業者


Yコンビネーター:2005年設立のベンチャーファンド。卒業生に、ドロップボックス(2007、ファイル共有)、エア・ビー・アンド・ビー(2009、ルーム貸し)、ヘロク(2008、クラウドプラットフォーム)などがいる。
本書の舞台となった2011年夏学期には、ウェブ上でプログラミングが学べるコード・アカデミーが参加した。