内容紹介

『ユダヤ人の歴史』や『インテレクチュアルズ』で知られる英国の歴史家・ジャーナリストのポール・ジョンソンが、ヒトラー率いるドイツから祖国・英国を、自由主義と民主主義を救った英雄、戦時宰相ウィンストン・チャーチル(1874-1965)の生涯を愛惜を込めて一筆書きのように描いた評伝。

 たとえば、ヒトラー・ドイツへの反攻の狼煙となった1940年5月の演説のくだりをポール・ジョンソンは華麗な文章でこう書く。

 ナチス・ドイツがヨーロッパを席巻し、対峙するのはイギリス一国のみという国家的危機のただなかで首相の座に就いたチャーチルは、就任三日後の1940年5月13日、下院での最初の演説でこう語り、国民を鼓舞した。
 「わたしが提供できるのは血と労苦と涙と汗、これら以外に何もない。(略)わが目的は何か。それは勝利である。いかなる犠牲を払っても勝利、いかなる恐怖に襲われても勝利、いかに遠く険しい道であっても、勝利を収める」

 解説をチャーチルのファンでもある野中郁次郎・一橋大学名誉教授が執筆した。3・11以降、日本の指導層のリーダーシップの欠如が指摘されている。第二次大戦でチャーチルが示したリーダーシップは人類史に残る偉業といえる。本書はチャーチル入門書として最適である。


著者略歴
ポール・ジョンソン(Paul Johnson)

1928年英国生まれ。オクスフォード大学卒業、1955年から70年までニュー・ステイツマン誌記者、編集長。ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなどに寄稿する一方、歴史家・評論家として優れた作品を発表している。著書に『インテレクチュアルズ』(講談社学術文庫)、『ユダヤ人の歴史』(徳間書店)、『現代史』(共同通信)など。