内容紹介

……株式会社が配当額を決めるためには、資本と利益を区別しなければならない。では、どうやって計算すればいいのか? 驚いたことに、この問題の答えは、ヴェネツィア式の複式簿記のなかにあった。複式簿記は、資本と利益を区別して計算するという、現代の株式会社に欠かせない機能を備えていた。複式簿記が世界中で採用されることになった理由の一つがここにある。複式簿記は資本主義の基本的なしくみを提供すべく「待機していた」のである……。
(本書より)



[おもな目次]
序 章 ロバート・ケネディと富の測定
第 1章 会計--コミュニケーションの始まり
第 2章 商人と数学
第 3章 ルカ・パチョーリ、有名人になる
第 4章 パチョーリの簿記論
第 5章 複式簿記の普及
第 6章 産業革命と会計士の誕生
第 7章 複式簿記と資本主義--卵が先か、鶏が先か
第 8章 ケインズ--複式簿記と国民の富
第 9章 会計専門職の台頭とスキャンダル
第10章 会計は地球を救えるか
終 章



■各種メディアの書評欄でも紹介されました!
読売新聞(2014年11月23日)
評・松井彰彦氏(経済学者・東京大教授)
「……本書はその複式簿記の発展の様子を数学の黎明れいめい期から、現代の資本主義を支える土台となる成熟期までを綴つづった絵巻物語である。数学の起源から始め、ベニスの商人の簿記論に進む。そこで誕生した複式簿記が資本と利益を区別するという、「現代の株式会社に欠かせない機能を備えていた」という……」

日本経済新聞社(2014年11月23日)
「会計」概念が飛躍の原動力に
「……本書は複式簿記の技術論を語る本ではない。「会計」という概念を花開かせたことでコミュニケーションの新たな武器を手にした人類の歴史の物語である。……」

AERA(2014年11月24日)
リブロ昼間匠さんがオススメする一冊
「……本書は、会計システムの起源とされる古代メソポタミアの人々の農作物の収穫量と交換の記録から資本主義社会の現代に至るまで、様々な世界の歴史を「会計」というフィルターを通して語っている……」

BSジャパン「日経みんなの経済教室」(2014年11月30日)
西岡幸一氏(専修大学経済学部)
「……原書のタイトルにもある複式簿記(Double Entry)とは、ひとつの取り引きを入りと出の二本立てで考えることであること。……環境汚染や交通渋滞、健康被害など帳簿外で発生している現象は反映されていたにが、これらを会計に取りこむことで、地球を救うことになるのではないかと著者は主張する……」