内容紹介
最新装備の精鋭部隊がなぜ、寄せ集めのイラクのアルカイダに苦戦したのか?
不確実性の高い環境のなかで、勝ち残る組織の条件とは?
著者が率いる特任部隊は確かにイラクで苦戦したが、それは敵が一流の組織であるため力が及ばなかったからではない。イラクのアルカイダは強くて柔軟性がありへこたれないが、たいてい訓練不足で装備も貧弱だった。彼らの強さと能力は、たまたま運よく21世紀的なファクターの相乗効果によって強化されたにすぎない。これはシリコンバレーの起業家のなかに、アイデアや製品の秀逸さよりも、タイミングがよかったというだけで桁はずれに儲けた者がいるのとよく似ている。こうしたファクターはイラクや戦争時に限ったことではなく、我々の日常の暮らしや組織のあり方にも関係してくる。これらのファクターを理解して適応していくことは必要不可欠であり、それが数年後の成否を分ける。
本書は、こうしたファクターを理解するためのレンズを提供し、企業をはじめとする組織が新たな適応の必要性に迫られたとき、それにいかにアプローチしていくかの要諦をまとめたものである。
「計画・実行型」組織から「適応型」組織への転換が必須
本書の狙いは、今日の世界が過去とどう違うか、それに対して何をすべきかを理解してもらうことだ。なじみ深い効率性の追求というスタイルは、もはや変えるべきではないのか? 効率性は大切だが、複雑な状況と絶え間ない変化への適応は避けられない課題のはずだ。戦場での経験を生かし、企業や病院、NGO、その他の思いもよらない部門の実例と結びつけて考えることを通じて、問題の兆候とその原因を提示し、効果的なアプローチを探っていきたいと思う。そうすることで読者は、自らが直面している難問を十分に理解し、状況に応じた認識を持つことができるだろう。