内容紹介
航空機や自動車、鉄道などの高速・高性能化、省エネルギー化、CO2排出抑制を図るためには、軽くて強い構造材料の開発が必要である。
そこで輸送機器の軽量構造材料として注目されているのが、
実用金属で最も軽量であるマグネシウムを主成分とするマグネシウム合金だ。
しかし、マグネシウム合金は発火しやすく、機械的特性が
アルミニウム合金に比べて劣るため、期待したほど普及が進んでいない。
そんな中、新しい高強度マグネシウム合金が日本で開発された。
「LPSO型マグネシウム合金」と呼ばれてるこの新材料、その実用化を目指した応用研究が展開され、
自動車や航空機あるいは医療機器の次世代材料としての研究開発も進んでいる。
しかしながら、この合金の強さの源であるシンクロ型LPSO構造は、
従来の材料工学の枠組みでは十分に解明できなかった。
そこで、この合金を開発した熊本大学を中心とする研究者チームは2011年から5年にわたり、
シンクロ型LPSO構造のメカニズムや力学特性の解明に取り組んだ。
本書はそんな新合金の研究開発プロセスから得られた成果を紹介するとともに、
普段あまり馴染みのない材料工学の世界を、材料研究者の目を通して一般の人にもわかりやすく解説する。
【目次】
第1章 軽金属材料における新たな展開
第2章 LPSO構造とは一体どのようなものなのか?
第3章 LPSO構造はどのようにしてできるのか?
第4章 LPSO型マグネシウム合金はなぜ強いのか?
第5章 LPSO型マグネシウム合金の実用化に向けた取組み
第6章 熊本大学先進マグネシウム国際研究センター(MRC)