内容紹介

均等法の母と呼ばれて――
2021年末に日経新聞朝刊に元文相・赤松良子氏が連載した「私の履歴書」を大幅加筆のうえ書籍化。女性官僚のさきがけとして歩んできた半生は、戦後日本の女性の地位向上の歴史と軌を一にする。連載時には、特に男性と同等に働きたくても働けなかった世代の女性から、書籍化を望む声が相次いだ。
赤松氏の官僚人生の集大成が1985年の男女雇用機会均等法の成立である。労働省で53年にキャリアをスタートさせるも、旧弊な組織と社会の中で様々な壁にぶつかってきた。しかし持ち前のガッツと知恵で立ち向かい、大きな仕事を成し遂げた。イクメンが当たり前になった世代にとっては、かつて企業に女性の結婚退職制や男女で異なる定年制があった歴史など知る由もないだろう。「育児休業」という言葉も72年の勤労婦人福祉法に初めて盛り込まれた。
法律で社会に制度化されなければ、世の中は動かない。志を高く持ち、強い信念とバランス感覚で、ついに歴史を動かした。女性活躍の地平を切り開いたパイオニアの歩みには、未来を担う女性たちへの熱いエールが詰まっている。

目次

長い列に加わって

父のアトリエ
あこがれの職業婦人
夢は東京へ
津田塾
東大へ

労働省
結婚
人事の壁
雌伏
初めての海外
国際的な視点

男女平等
群馬労基局
婦人参政権25周年
勤労婦人福祉法
国際婦人年

国連公使
女子差別撤廃条約
男女平等法制
前進
労働側の反発
男女雇用機会均等法成立
世界婦人会議

ウルグアイ大使
官僚を辞す
文相
文化活動
女性たちの恩人
列は続く

均等法の父
市川房枝さんのこと
津田に息づく思い
人と人の不思議な縁
母への恩返し
猫のいる暮らし
「きょうよう」と「きょういく」