友達がいないことは健康に悪いことが分かっています。友情は死亡リスクを45%下げ、最強のうつ病予防策になるとさえいわれます。また、ある研究では、幸せな人と不幸せな人の最大の違いは、その人が魅力的かではなく、人生でどれだけいいことが起きたかでもないことが明らかになりました。「人とどのくらいつながれたか」が人生にとって大切なのです。新刊『FRIENDSHIP(フレンドシップ) 友情のためにすることは体にも心にもいい』(マリサ・G・フランコ著、松丸さとみ訳)から抜粋してご紹介します。

最強のうつ病予防策は友情

 友情が持つパワーは、科学によって証明されています。心理学者は、人間関係が、酸素、食べ物、水と同じように、人が生きていくために欠かせないものだと言います。それがはぎ取られてしまったら、人は健康的に生きてはいけません。

 友情は心身の健康に多大な影響を与えています。科学者は、うつ病に影響する106の要素のうち、最強のうつ病予防策となるのは、信頼できる友達を持つことだと発見しました。

 孤独ではないということは、1日15本の喫煙をやめることに匹敵します。ある研究によると、幸せな人と不幸せな人の最大の違いは、その人がいかに魅力的かとか信心深いかではなく、人生でどれだけいいことが起きたかでもないことが明らかになりました。人とのつながりの度合いだったのです。

 友情は、人生に降りかかる災難でできてしまったトゲを、やすりにかけるように削り取ってくれます。

 ある研究では、「テロリスト」とされた人物の印象について男性に聞いたところ、回答者の男性が友達と一緒にいたときよりもひとりでいたときの方が、「怖い」という感覚を抱きました。坂道について尋ねた別の研究では、友達と一緒にいたときの方が、勾配を緩く感じました。

 友情が持つ癒やしの力は、心の健康だけでなく、体の健康にまで及びます。サイエンス・ジャーナリストのマルタ・ザラスカは、その著書『Growing Young: How Friendship,Optimism, and Kindness Can Help You Live to 100』(『若返り:友情、楽天主義、思いやりで100歳まで生きる』、未邦訳)の中で、長寿の要因としてよくあげられるもの、例えば食生活やエクササイズなどを査定しています。

 そこで、長寿に最も強力な要因は、人とのつながりであると結論づけました。例えばメタ分析によると、エクササイズは死亡リスクを23~30%、食生活は最大24%とそれぞれ下げますが、大きな交流ネットワークを持っていると、死亡リスクが45%も低減することが分かったのです。

 私がこの研究結果を同僚に教えたところ、彼女は「社交的なカウチポテト〔ソファに座ったままだらだらとすごす人〕でもいいってことか」と言っていました。私たちみんな、それでいいのです。

家族とは種類の違う関係が持てる

 人とのつながりから得られる恩恵の多くは、もちろん家族や配偶者など友達以外の親しい関係を通じて経験できるものです。しかし、友情には友情ならではの利点があります。

 友達は親と違い、私たちに自分の期待や欲求をかなえてほしいとは思っていません。配偶者と違い、その人のすべてになったり、欠けた部分を補う存在になったりという、ものすごい期待を背負わされることもありません。そして子どもと違い、命を守り育てる責任をひとりで負うこともありません。

 友情における人間関係という「圧力弁」を開放すると、ほかの人間関係では得られないような喜びで満たされます。退職後の生活を計画する必要もなければ、お互いの性欲を満たす必要も、お風呂掃除を誰がするのかを決める必要もなく、気兼ねなく、友情を喜び味わうための場にできます。

 ある研究では、友達と一緒に過ごす方が、恋愛の相手や自分の子どもと過ごすよりも大きな幸せにつながることが分かりました。

 理由は、友達と一緒だとボウリングしたり、季節のイベントに出かけたり、ドッグランで他人の子犬をかわいがったりと楽しく過ごせる一方で、配偶者や子どもと一緒にする行動は、食器を洗ったり、請求書を支払ったり、歯磨きをするよう促したりなど、日常的なものになるためです。

 友情についての回顧録を一緒に執筆したふたり、アン・フリードマンとアミナトゥ・ソウによると、友情も当然ながら「親密な日常」へと深まることがあります。友達だって、食料品の買い出し、雑用、退職後に一緒に過ごす生活などが関わってくる関係になるかもしれないのです。現在はひとりの人物にまとめられているセックスの相手、恋愛の相手、人生の伴侶をバラバラに切り離すことで、友達もまた、人生を共に過ごす大切な人になる可能性を秘めています。

 アメリカの月刊誌アトランティックは、「The Rise of the 3-Parent Family」(3人親家族の興隆)という記事の中で、アセクシュアル(他人に対して性的欲求を抱かない人たち)のための団体アセクシャル・ビジビリティ・アンド・エデュケーション・ネットワークの創設者である、デヴィッド・ジェイという人物を紹介しています。

 彼は、「強烈なエネルギーを感じる」友達と、人生を共にすることについて話し合いました。この話し合いはうまくいきませんでしたが、結局、別のカップルと一緒に子育てするところに落ち着きました。

 友情は柔軟で、ニーズによって変わります。月1回のランチ友達となる可能性もあれば、魂の友達(ソウルメイト)になる可能性もあるのです。

友情は健康にいい(写真:taka/stock.adobe.com)
友情は健康にいい(写真:taka/stock.adobe.com)
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人生を終えるときにお金や権力には意味がありません。ある研究によると、幸せな人と不幸せな人の最大の違いは、その人が、人とどのくらいつながれたかでした。友情のためにすることは、すべて人を成長させると著者は言います。利害関係のない人間関係を持っている人が、本当に豊かな人だともいえます。著者のマリサ・G・フランコは心理学者で、友情の研究者。本書は多様な論文と、さまざまな人々の失敗や成功例を元に書かれています。実際にどう友達をつくったらいいかも分かります。ぜひこの本で、豊かな友情を育ててみましょう。

マリサ・G・フランコ著、松丸さとみ訳、日経BP、2420円(税込み)