友達が多い人はどういう性格の人でしょうか? 友達が多いかどうかは、子供のときに親にどう育てられたかで大きく決まると言います。新刊『FRIENDSHIP(フレンドシップ) 友情のためにすることは体にも心にもいい』(マリサ・G・フランコ著、松丸さとみ訳)から抜粋してご紹介します。
あなたは友達ができやすい性格か?
自分が中学生に戻り、学食にいるところを想像してください。あなたは、親友のエリックと毎日学食で食べていました。しかし、彼の姿は今日は見えません。代わりに、自分と同じテーブルに友達のアマンダがいるのを見つけ、ホッとします。
「エリック見なかった?」とあなたはアマンダに尋ねます。もうランチタイム開始から15分たっています。あなたはアマンダと話し始めました。話しながら、アマンダはあなたの背後をじっと見ています。彼女の目が急に大きくなったので振り返ろうとすると、肩に液体が流れるのを感じました。鼻の中は、液体のにおいで満たされます。牛乳です。
牛乳は胸から膝へと滴り、牛乳パックが床で弾みました。近くにいた生徒たちが、まるで『ライオン・キング』のハイエナのような声で笑い出します。一体何が起きたのかと振り返ると、エリックがいました。トレイには、ピザが載っていますが、ドリンクを載せる四角いスペースには何もありません。牛乳がなくなっているのです。
起きたことをどう解釈するかは、あなた次第です。エリックは、テーブルの近くに来たところで、あなたと早くおしゃべりしたくて慌て、つまずいてしまったのでしょうか? それとも、エリックはつまずいてなどいなかったのでしょうか? 意地悪をしようと牛乳パックを開けて、あなたの頭に牛乳の雨を降らせたのでしょうか? それとも、悪意はなくただのおっちょこちょいなのでしょうか?
友達との間で起きた出来事について、なぜこうもさまざまな解釈があるのでしょうか。
「スーパーフレンド」は寛容である
最も友達をつくり、維持しやすいのは、どう感じた人でしょうか? 友達をつくり、維持する達人をオムリ・ギラスという心理学者は「スーパーフレンド」と呼びます。研究によると、こうしたスーパーフレンドは新しい友達をつくるのがうまいだけでなく、友情も親密で長続きします。
彼らは、ギラス博士が言うところの「シャベル友達」(午前2時に家に行き、遺体を埋めるのを手伝ってほしいと言うと、"シャベルはどこ?”と言ってくれる友達)をつくるのも得意です。
こうしたスーパーフレンドは、人間関係に活気があるだけではありません。人生のあらゆる面が活気にあふれており、つまり他者と関わる能力は、友情を左右するだけでなく、行動すべてに大きく影響することが分かりました。
スーパーフレンドはメンタルヘルスも良好で、自分は大切な存在だと考える傾向にあることが、研究から分かっています。新しいアイデアにオープンで、偏見も持ちにくく、仕事に満足し、同僚からも肯定的に見られ、後悔は少なく、人生の困難もうまく乗り切れる傾向にあります。
数学の試験や人前でのスピーチなど一般的にはストレスがかかるイベントにも、落ち着いて対処します。心臓発作や頭痛、胃腸障害、炎症といった身体的な不調を抱えることもあまりありません。
スーパーフレンドは、先ほどの牛乳事件にも、独特な反応をしました。複数の研究が、同様のシナリオ(牛乳事件ほどドラマチックではありません。あのエピソードは、興味深くするための許容範囲内での創作です)での友達の行動を解釈するよう、子どもたちに尋ねる調査を行っています。
中には、エリックが人に恥をかかせるために意地悪でわざわざあんなことをしたのだと考え、牛乳をこぼされたことに腹を立てる子もいました。牛乳をぶちまけてやり返したいという子もいました。
しかしスーパーフレンドは、このエピソードを単なるアクシデントだと受け取りました。彼らは寛容で、「疑わしきは罰せず」の精神でエリックを受けとめ、何も心配する必要はない、とエリックを安心させるのでした。
性格の土台は自分と養育者との関係
スーパーフレンドならではの特徴とは何でしょうか? それは、心の安定です。愛着理論(ギラス博士の人生とキャリアは、この理論によって永遠に変わりました)によると、人間のパターンは3つのスタイルに大まかに分けられます。これらを愛着スタイルと呼びます。
例えば、スーパーフレンドのような人は「安定型」です。3つのスタイルを見てみましょう。
1 .安定型:自分は愛される価値があり、他者は自分が愛するだけの信頼に値すると考えています。この信念は無意識のテンプレートとなり、その人のあらゆる人間関係に適用されます。そのため「疑わしきは罰せず」で人を受けとめ、オープンで、必要なことはおくせず人に頼み、他人を支援し、自分は人に好かれていると考え、親密な関係を築くことができます。
2 .不安型:自分は人に見捨てられると思い込んでいます。見捨てられないために、しがみつくような行動を取ったり、過剰に自己犠牲的に人の世話をしたり、すぐに親密な関係になったりします。
3 .回避型:この愛着スタイルの人も同様に、人から見捨てられることを恐れています。ところが、見捨てられないようしがみつく代わりに、人と距離をおきます。親密な関係になると自分が傷つく可能性があるため、人を押しやり、もろさを見せず、早い段階で人間関係を終わらせます。
私たちは、自分と養育者との初期の関係を土台として、愛着スタイルを発達させます(ギラス博士の研究では、遺伝子からの影響があることも分かっています)。養育者が温かく、認めてくれるような人であれば、私たちは安定型になります。
そうではなく、対応が消極的で、冷たく、拒絶するような、あるいは必要以上に口出しするような養育者(例えば、悲しんでいるときに泣くのをやめろと怒鳴ったり、遊びたいときに無視したり、シリアルをこぼしてしまったときにたたいたりするような養育者)であれば、私たちは不安型か回避型の不安定な愛着スタイルを発達させます。
とはいえ、愛着はすべて両親の落ち度によるものというわけではありません。ある研究では、幼児期から大人になるまで同じ愛着スタイルのままでいる人の割合は、72パーセントでした。ところが別の研究では、この割合は26パーセントという低い結果になっています。どちらの研究も小規模であり、もっと多く行われる必要があります。
研究のひとつを行った、ニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校のエヴェレット・ウォーターズ教授に話を聞いたところ、一般的に、人が人間関係にどのようなスタイルでいるかが確立されるのは、幼児期の間、養育者相手に経験した愛着であることに間違いはないけれど、スタイルはほかの人間関係の中で進化する可能性が高く、親子関係は単に出発点にすぎない、と言っていました。
「ピアグループ〔年齢や経験、地位など自分と似た志向性を持つ人からなる仲間集団〕とある程度の経験をしてしまえば、当初抱いていたスタイルは、仲間と実際にした経験でつくられたスタイルに取って代わられます」とウォーターズ教授は説明します。
言い換えれば、新しい人間関係一つひとつが、自分の愛着スタイルを変える可能性を秘めているのです。
マリサ・G・フランコ著、松丸さとみ訳、日経BP、2420円(税込み)

