デビューから13年。メンバーの卒業と加入を重ねながらも、Juice=Juiceは歌唱力とライブパフォーマンスを軸にした“王道”を貫いてきた。そして2025年に発表した『盛れ!ミ・アモーレ』が大きな反響を呼び、26年に入ってブレイクが加速。積み重ねてきた実力が広く評価され、アイドルシーンを代表するグループへと飛躍した。新たな個性を取り込み、時代に合わせて進化を続けることで、常に新しい魅力を生み出してきたJuice=Juiceが体現する王道の進化の先に迫る。今回は、段原瑠々、工藤由愛、松永里愛の3人に「『盛れミ』の前と後で変わったことは?」をテーマに語り合ってもらった。[日経エンタテインメント! 2026年10月号の記事を再構成/日経クロストレンド 2026年10月28日付の記事を転載]

Juice=Juiceのメンバーとしての活動10年目を迎え、4代目リーダーとしてグループをまとめる段原瑠々と、“ゆめりあい”のコンビ名で親しまれる、同期で活動7年目の工藤由愛&松永里愛。在籍年数が長い3人は『盛れ!ミ・アモーレ』(以下、盛れミ)のメガヒット前後での変化をどう感じているのか。率直な思いを語ってもらった。
──2025年8月の『ハロ!コン2025』で初披露され、10月に両A面シングルとしてリリースされた『盛れミ』。バズを感じたのはいつでしたか?
段原瑠々 最初はハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)界隈(かいわい)で盛り上がっていたんですよね。OCHA NORMAがゲーム配信で披露した“隙アモ”が話題になって、ミュージックビデオ(MV)にも大喜利のようなコメントが増えて。川嶋美楓ちゃんのサムネイルがすごくかわいかったので、「気になって押してみたら曲にハマった」という方も多かったみたいです。それが第1波で、さらにTikTokで広がったことが大きかったと思います。
工藤由愛 グループとしてもTikTokの投稿量を3~4倍に増やしました。スタッフさんが本格的な撮影ライトを導入してくれて、積極的に取り組むようになりました。
段原 1日1本は必ず投稿していたよね。
松永里愛 ライブで初披露したときから、すごく盛り上がる楽曲だと感じていました。コールが完成したのは9月の台北公演。海外ということもあって大盛り上がりで、「この曲ってこんなにライブ映えするんだ」と思いましたね。
──『THE FIRST TAKE』への出演も話題に。
工藤 それまで私たちのことを知らなかったのに、「見てみようかな?」と思ってくれた方も多いと思います。
段原 ライブ映像も話題になったし…いろんなきっかけが重なって、じわじわと広がった感覚が強くて。「バズってますね」と言われても「そうなのかな?」と思うところはあります(笑)。本格的に音楽番組に出演させていただくようになったのは今年の3月末からで、実はまだそんなにたってないんです。いろんな経験をさせていただいて、毎日楽しいです。
──『盛れミ』で変化したことを思いつく限り教えてください。
段原 いっぱいあるよね!
工藤 1番驚いたのは、ライブで黄色い声(女性の歓声)が聞こえるようになったこと。ステージに上がった瞬間「キャ~!」と響いてびっくりしました。
段原 以前から女性ファンの方も多かったのですが、Juice=Juice Family(ファンネーム)の女性は男性に負けないくらい野太い声で、情熱的なコールをしてくださるんです(笑)。リリースイベントやフリーライブでは家族連れで来てくださる方も増えて、お子さんがMVの美楓ちゃんみたいなツインテールで来てくれたり、赤い衣装を着てくださったり…“ミニJuice=Juiceちゃん”がたくさん来てくれることもうれしいです。
工藤 「MUSIC AWARDS JAPAN」では、レッドカーペットで車から降りた瞬間に「『盛れミ』の人だ!」と声が飛んできて。今までにはなかった声援をいただく機会が増えました。
松永 私は、街中でちゃんと変装するようになりました(笑)。以前はそのままの姿で歩いていたんですが、赤髪ということもあってただでさえ目立つので、帽子を被るようになりました。
段原 そういえば、赤い衣装を着る機会が増えたことで、私服で赤をなかなか選ばなくなりました。
工藤・松永 確かに!
段原 元は赤が好きだったけど、今は赤を着ると仕事スイッチが入るようになってしまって。勝手に控えています(笑)。
松永 衣装は昔からスタッフさんがこだわってすてきなものを作ってくださるんですが、1つの衣装をベースにボトムスをいろいろ変えるなど、バリエーションが増えた気がします。
MVの表現の幅も広がる
段原 あと、メンバー全員で集合写真を撮る機会が増えました。お知らせすべきトピックが増えたので、そうした時に使えるように、こまめに撮るようにしています。告知を漏らさずに発信しようという意識も強まりました。
工藤 私はSNSが少し苦手で、Instagramの更新が止まってしまうことも…(笑)。でも、投稿できていない間にもフォローしてくださる方々が多くて、すごくありがたいです。それから、MVの表現の幅が広がりましたね。『BLOODY BULLET』(『MORE!MORE!EP!』収録曲)は合成がすごくて、撮影も新鮮でした。
段原 仕上がりが想像できないまま、グリーンバックの前で銃をバンバンと撃っていたよね(笑)。完成版はカッコよく仕上がっていて、「現代の技術はすごいな」と思いました。

26年春の全国ツアー「Juice=Juice Concert 2026 UP TO 11」は完売。ファイナルはぴあアリーナMMで2日間にわたって行われ、約1万8000人を動員した。
段原 ぴあアリーナMMは当初1公演の予定だったのですが、想像以上のお申し込みをいただいて2DAYSになりました。ツアー全体を通して、本当にたくさんのJuice=Juice Familyに会えてうれしかったですね。新しい顔もたくさん見えて、毎回その土地ならではのライブ感を楽しめました。
──さらに大きな会場でライブをしたいという思いも?
松永 もちろん夢として公言している東京ドームなどの大舞台にも立ちたいですが、私たちが大切にしているのは、「どんなに大きな会場になっても、お客さんに距離感を感じさせないライブをすること」。これまで様々な規模の会場でライブをやらせていただきましたが、どこに立っても熱量を変えずにステージを見せられるようになりたいです。
──『ミュージックステーション』(テレ朝系)や『FNS歌謡祭』(フジ系)など、伝統ある音楽番組への初出演も相次ぎました。
段原 すごくうれしいです! 中でも私は、大先輩とコラボさせていただいたことが印象深くて。『FNS歌謡祭』では郷ひろみさん、『うたコン』(NHK総合)では坂本冬美さんと一緒にパフォーマンスさせていただきました。現場では、いまだに「テレビで見ていた人がいる!」という感覚になってしまうのですが(笑)、一流の方々と渡り合いたい、超えていくくらいの情熱とパワーでいきたいと、いつも熱血で頑張っています。自分たちの強みを出すのもだんだん上手になってきた気がしますね。
工藤 本当にキラキラした時間を過ごしています。マネジャーさんから大きなトピックを知らせていただく機会を“インフォメーション”と呼んでいるんですが、以前は3カ月に1度あるかどうかだったのが、今は毎週のようにあって。以前はインフォメーションと聞くと「メンバーの誰かが卒業しちゃうのかな…」とドキドキすることが多かったけど、最近は「今日はどんなお知らせかな?」とワクワクするようになりました。
──7月には段原さん、松永さん、川嶋さんが初めて『オールナイトニッポン0(ZERO)』のパーソナリティーを務め、トーク力の高さも話題になりました。
松永 『オールナイトニッポン』に出ることは夢でした。1年前は自分が出演できるという発想すらなかったけど、今は「いつか全員でレギュラー番組を持ちたい」と思うようになりました。Juice=Juiceはパフォーマンスももちろんすごいけど、1人ひとりの個性が本当に豊かなんです。そういう部分を知っていただける機会も、もっと作れたらうれしいですね。(本誌記事掲載後の26年10月からニッポン放送で『Juice=Juice ジューシー・トーク』がスタートしている)

在籍年数の長い段原、工藤、松永を筆頭に、現在のメンバーは11人。25年6月に加入した最年少の林仁愛と段原には10歳の年齢差があるが、良いチームワークを築いていることが伝わってくる。『盛れミ』ヒットで、メンバーの関係性に変化はあったのか。
段原 さらに仲良しになりました!
工藤・松永 うんうん!
段原 プレッシャーを感じるお仕事が増え、みんなでグッと気合を入れて挑む場面も多くなるなかで、自然と支え合って1つになれている気がします。1番良かったのは、『盛れミ』のおかげでメンバーそれぞれに自信がついたこと。表情からもパフォーマンスからも変化を感じます。以前はみんないい子すぎて「自分なんか…」と遠慮しすぎるところがあって、もったいないと思っていたんです。最近は「自分を表現したい」という欲が見えるようになってきて、それはグループにとってもいい変化だと思います。
松永 メンバー間の話し合いは以前から定期的にしていますが、最近は後輩メンバーも「こういうことをやりたいです」と積極的に発言してくれるようになって、すごくうれしいです。
工藤 石山咲良ちゃんはみんなでいると遠慮しがちだったけど、よく発言するようになって。それは大きな変化だと感じていますし、私もみんなに助けられています。
グループの結束が強まる
──ハロプロの他グループとの関係性に変化はありましたか?
松永 合同イベントで会うと「あの番組見たよ!」と声を掛けてくださったり、リハーサル中に『盛れミ』を踊ってくださったりして、すごくうれしいです。ハロプロは本当にカッコいいグループばかりなので、Juice=Juiceをきっかけとして、ほかのグループにも興味を持っていただけたらうれしいです。
段原 28年のハロプロ30周年に向けて少しずつ動いていて、「みんなで盛り上げていこう」という空気があります。30周年イヤーにはハロプロアーティストがテレビに出まくっている未来があったらいいな、と。1つひとつ全力でぶつかって、次につなげていきたいですね。私ももうハロプロに12年所属しているので、少しでも恩返しをしたいです。
──ここまで変わったことについてお聞きしてきました。逆に、変わらないと感じる部分は?
段原 メンバーがずっと元気なところ(笑)。朝が早くても夜が遅くても、誰かしらがめちゃくちゃ元気です! 前リーダーの植村あかりさんが大型犬のような方だったので、みんなが伸び伸びと振る舞っていた名残がある気がします。でも今のわちゃわちゃ感は、(林)仁愛ちゃんが入ってきたことが大きいかな。毎日みんなをかき乱しています(笑)。
松永 仁愛は本当に怪獣(笑)。年齢の都合で彼女が出られない番組がある時は「自宅で見まーす!」と先に帰っていくんですが、急に楽屋が静かになります(笑)。
段原 普通の子ども感があるというか…芸能界にあまりいないタイプの少女感があるんですよね。いつもちゃんと悲しそうで、ちゃんと落ち込んで、ちゃんと自分で立ち直る。でも他の人のことをよく見ていて、元気がない子の近くに自然と近づいたりもする。本当に素直ないい子なので、このままでいてほしいですね。

──26年9月にはグループがデビュー13周年を迎えました。先輩から受け継いできた“Juice=Juiceらしさ”とは?
松永 ライブが大好きなこと。私が加入する前からずっと、Juice=Juiceのライブは本当にカッコいいし、ライブを楽しむ姿勢は、今も変わっていないと思います。
工藤 私は、ステージに立ったときに一気にスイッチが入る感覚。ただ立っているだけで「Juice=Juiceだ」と思わせるオーラがあるんです。スイッチが入った瞬間のメンバーを見ると、圧迫されるというか…。
段原・松永 圧迫?(笑)。
工藤 あ、圧倒です!(笑)。立ち姿が堂々としていて、姿勢が良くて…Juice=Juiceならではのオーラは、昔も今も強みだと思います。
──まさに、普段の愛らしい姿とステージ上の覇気をまとった姿のギャップは、同一人物と思えないほどです。スイッチはどんな瞬間に入りますか?
段原 私はステージに向かうメンバーの姿を後ろから見たとき。それとライブが始まってから、メンバーの爆発力に感化されてさらに火がつくことが多いですね。
松永 円陣を組む時にいつも瑠々さんがみんなに一言伝えてくださるんです。「瑠々さんがこう言ってくれたから大丈夫だ」と思えて気が引き締まるし、そこでスイッチが入ることが多いですね。
工藤 私は楽屋を出て円陣が終わってステージに向かう時やマイクを持った瞬間、ヒールを履いたときなど…日によって違います。
段原 由愛はスイッチが入るとそわそわし始めるよね。立って楽屋をぐるぐる歩くから、すぐ分かる(笑)。
工藤 動いていないと心配で…(笑)。そこは加入した頃から変わっていないかもしれないです。
段原 でも、由愛はすごく本番に強くなった。なんでも自分で解決しようとしすぎるから、もっと口に出して頼ってくれていいのにな、と思います。『盛れミ』では歌い出しを担当していて、私はいつも、由愛がリアルに武者震いしているのを隣で感じるんです。それを見て自分も気合が入りますね。
工藤 本当にメンバーのみんなの存在が大きいです。こんなに緊張しやすいのに活動を長く続けられているのは、メンバーのおかげ。私もみんなを支えられる存在になりたいです。
先輩から受け継いだ思い
──段原さんは初代メンバーとの活動を経験していますが、先輩からどんな思いを受け継いできましたか?
段原 歴代のリーダーさんそれぞれの時代ごとに、違うJuice=Juiceの色があったと思います。初代リーダーの宮崎由加さんはすごく包容力があって、底がないほどの愛に助けられました。金澤朋子さんは凛(りん)とした強い女性だけど、中身が面白くてギャップが魅力的。そして植村さんは「みんなでやろう」というおおらかさで、ワイワイとした空気を作ってくれました。それぞれの時代で私が感じたうれしかったことを、今度は後輩たちに返していきたいです。
──では、お2人にとって段原さんはどんなリーダーでしょう?
工藤 うーん…規則正しくて、お手本のような人です。ちゃんとルールを守るけど、温かさがある。私と里愛はグループの中では先輩組だけど、れいるる(段原と井上)さんには甘えられるし、段原さんには歴代のリーダーさんの要素が詰まっていることをとても感じます。
松永 メンバーを大切に思ってくださっていることが、普段の言動やパフォーマンスから伝わってきます。話し合いをするようになったのも、段原さんが「先輩の意見ばかりが通りやすいから、もっとみんなが発言しやすいように」と言ってくださったことがきっかけでした。音楽番組などのお仕事が増えても「これはJuice=Juiceという看板のおかげだ」と思ってしまうこともあったんです。でも段原さんは「今の11人、1人ひとりの力だよ」と言ってくださって。その言葉は忘れられないですし、誰1人取り残さないリーダーです。
段原 うれしい…!
歴史を積み重ね、急に訪れたようにみえる空前のバズ。この状況を本人たちは必然と感じているのか、偶然だと捉えているのか。
松永 必然だったと思います。もちろん運もあるけど、いろんな偶然が重なって必然になった。『盛れミ』をきっかけに過去のJuice=Juiceを見てくださった方が「どの時代もいいね」と言ってくださるのは、歴代のメンバーが時代ごとに“最高”を積み重ねてきた結果だと思うんです。
段原 私は偶然であり、必然でもあったと思います。今まで頑張っていなかった瞬間なんて1度もなかったし、いつも幸せでいっぱいでした。でもこうして新しいお仕事が増えると、やっぱりうれしくて。「もっと行きたい」という思いが強くなりました。
──今はどんな“欲”を抱いていますか?
段原 たくさんあります! ハロプロは1年の活動の流れがある程度決まっているけど、今は年末の自分たちがどう過ごしているか、想像できないことがうれしくて。やっぱり『NHK紅白歌合戦』は目指したい場所です。
工藤 私はライブが大好きなので、47都道府県ツアーもやりたいし、単独ライブの機会をもっと増やしたいです。個人的には、出身地である北海道のエスコンフィールドHOKKAIDOでライブをしたいし、北海道でのリリースイベントが当たり前になるくらいにしていきたいです。
松永 私は個人としての明確な目標はないけど、メンバーの夢を一緒にかなえたいです。「この音楽が正解だ」という作品を作るのではなく、Juice=Juiceにしかできない音楽を、自由に作り続けられる環境を守りたい。その先で『紅白』やエスコンなど、みんなの夢につながっていったら1番うれしいです。

日経エンタテインメント!編/日経BP/1980円(税込み)
