読書家で知られる俳優の庄司浩平さん。多忙ななかで、いかに読書の習慣を維持するかはビジネスパーソンにとっても非常に気になるところ。第3回は、庄司さん流の読書術やライフスタイルと本の関係性を話してもらいました。
俳優・モデル
書店をブラブラして社会の動きを観察する
幼少期からずっと、本が身近にありました。今も定期的に図書館や書店に通っています。書店に寄ることは生活の一部になっているので、例えば仕事が終わって近くに書店があったらとりあえず寄ってみる。書店は、そうやって気軽に足を運ぶ場所です。書店に入ると、まず売れている注目の新刊を見てから、いろいろな棚をのぞきます。
よく足を運ぶのは、池袋のジュンク堂書店、新宿の紀伊國屋書店、渋谷の西武百貨店の紀伊國屋書店などです。なかでも、池袋のジュンク堂書店は、照明や店内の落ち着いた雰囲気が好きで、とても居心地がいいんですよ。何時間もいられるくらい、気に入っています。
書店に行って本を買わない日もあります。書店って、うろうろしているだけで、今、世の中で起きていることや時代の流れをとらえることができる場所ですよね。
紙の本が売れなくなったと聞くこともあるけれど、ビジネス書のコーナーに行って平積みされた本を一冊ずつ眺めては、いろいろ考えるんです。今はこういうキーワードで本が売れるんだなあとか、個人の幸せを模索するマインドフルネスやウェルビーイング指向の本が増えたなあとか、モノよりコトにお金を使う指南書が結構出てきたなあとか。アマゾン創業者のジェフ・ベゾスやグーグルのラリー・ペイジなど、世界的企業の創業者の翻訳本などが並んでいるのを見て、世の中が注目している人はどんな人だろう、と考えてみたり。今ちょうど、書店の目立つところに陳列されている話題のビジネス書『 DIE WITH ZERO 』(ビル・パーキンス著、ダイヤモンド社)も、知り合いからすすめられて気になっているところです。
アプリを使って読書記録を残す
読んだ本は、「ビブリア」というアプリに記録をつけています。2020年から始めたので、それ以前に読んだものまでは網羅できていないのですが、読んだらすぐにアプリにメモするようにしているので、結構、記録がたまってきました。
最近は少し読書のペースが落ちてきたのですが、それでも1カ月に4冊くらいは読んでいますね。わざわざ読書のための時間をつくっているわけではなく、常に本を持ち歩いて、移動中など隙間時間を見つけて、読み進めています。
読む本のジャンルや作家、読む動機もさまざまです。いわゆる「雑食」な読書なんです。ドストエフスキーのようなロシア文学や戯曲はとっつきにくさもあるけど、とりあえずこれも教養になるかな…と思って手に取ることもあります。不純な動機のときもあります。「夏目漱石が好きと言ったら、品がありそうだから読んでおこう」とか(笑)。
併読するなら、ミステリーは1冊まで…
今、ラランドのニシダさんの著書『 ただ君に幸あらんことを 』(KADOKAWA)と、東野圭吾さんの作品を併読中です。普段から、2~3冊を並行して読むことが多いのですが、このスタイルを継続していて気づいたのは、ミステリー小説を複数冊同時進行するのは僕には向いていない、ということ。
ミステリーを複数冊読んでいるとあちこちで事件が起きて、そのうち、「あれ?この前、重要人物が死んだような気がするのにまた死んだ?」「ん?もう伏線回収しちゃうの?」と、作品を混同してしまうんです(笑)。ミステリーを読むなら、もう一冊はほのぼのした作品を選ぶなどしてバランスを取っています。
第1回の記事 「俳優・庄司浩平 子ども時代から大人になるまで『読書を好きでいる』方法」 でもお話ししましたが、この本が人生を変えた!という本との出合いが僕にはありません。逆にいえば、人生を変えるために読書をしていないんです。「何かを得よう!」と意気込んで本を選ぶこともなく、読書に成果を求めていないのかもしれません。気軽に選んで気楽に読み進めています。プレッシャーを背負わないほうが、忙しくて時間がないなかでも、いろいろなジャンルの本をたくさん体験できる気がするんですよね。
取材・文/真貝友香 構成/長野洋子(日経BOOKプラス編集) 写真/洞澤佐智子



