俳優の庄司浩平さんは、読書や学び、執筆活動やチャリティなど自分の関心や興味に積極的に関わっています。第4回は、庄司さんの柔軟なキャリアのとらえ方、充実した日々を過ごすための姿勢やインプットへの思いについて伺いました。
俳優・モデル
読書で得られる「他者への理解」が糧になる
第1回の記事 「庄司浩平 子ども時代から大人になるまで『読書をずっと好きでいる』方法」 でもお話ししたのですが、僕にとって、読書は娯楽の一つ。「消費するもの」という表現でもお話ししましたが、アニメやドラマ、スポーツを見たり、お酒を飲んだりする感覚で、毎日軽やかに楽しむものです。ただ、俳優としての仕事には学びがたくさんあると思っています。
俳優のキャリアに必要なのは、自分が持っていないものや他者への理解を深めることにつきるんじゃないかと思うんです。現実にいるかどうか分からない、接点を持ったことがない、自分にはない感覚を持っている…そんな人物を演じることがよくあります。どう演じるかを考えるとき、読書は結構、役に立つんですよね。最近もあったのですが、本を読んでいるとき、登場人物に対して、「こういう部分って嫌だけど、自分にも同じようなところがあるかもしれない」と考えて、共通項を探して想像を膨らませたり。
本を通して、自分と違う人物にたくさん触れることを意識しています。「結局、自分の引き出しの中からしか芝居はできない」というのが、今26歳の自分が実感していることです。
僕自身、どちらかというと山あり谷ありの激動の人生を送ってきたわけではないので、だからこそ本を通して、さまざまな人や感情、経験を疑似体験したい、と思っています。
本がとにかく好きだったことが高じて、ちょうど先日「なつのさくら」という小説を発表しました(記事末のリンクを参照)。もともと、「文字の乗車券」というタイトルで、自分が読んで面白かった本のコラムをインスタグラム上で公開していたのですが、そのうちに、自分でも物語を書いてみたいと思い立ったのがきっかけで。書き始めたら最後まですんなり書くことができたんです。
未来の自分への投資と思って始めたこと
小さなことがいつか自分の将来の何かにつながるかもしれない、と思うと、未来の自分への投資と考えて、ちょっとだけ興味があることに対しても積極的になれるところがあります。例えば、政治経済で気になることがあると勉強したり、投資に興味が出てきたので、いくつか注目企業の株を試しに買ってみたり。とはいえ数分おきに相場の上がり下がりをチェックするようなことはしていなくて、株を保有することで経済を知るきっかけになるかなと思っています。
一つの評価が、他の活動へのボーナスにつながる
俳優という仕事をしていて面白いと思ったのは、一つ芽が出ると、他のことも評価していただけること。例えば知名度が一段階上がると、それまで注目されていなかったことにもボーナスのように評価がついてくることがあるんです。今、「なつのさくら」を多くの方に読んでもらえているのは、以前に比べて、さまざまな作品に出演させてもらったことにより知名度が上がったことがきっかけだなと実感しています。
語学の勉強も、執筆活動も、投資も、「いつか役に立つんじゃないか」とか「いつかボーナスがもらえるんじゃないか(笑)」とか、ほのかな期待も含めて取り組んでいるところがありますね。
2年前から始めたことの一つに「ブックサンタ」があります。さまざまな困難によって体験格差のある子どもたちに、本を選び、サンタクロースに届けてもらうチャリティー活動です。
書店で偶然ポスターを見かけたことがきっかけで参加することにしました。昨年は複数の書店でやってみたいと思ってランダムに4店舗ほど回り、せっかくならこんな活動があることを知ってほしいとXに投稿したら反響も大きく、うれしかったです。
これは、僕のもう一つの夢ですが、いつか子どものためのファウンデーション(財団)を設立できたらいいなとずっと考えています。その小さな一歩として、ブックサンタの活動に参加できてよかったです。こうやって「いつか」のために、小さな興味や関心の種をまき続けていきたいと思っています。
※2025年10月には自身初の小説「なつのさくら」を発表
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取材・文/真貝友香 構成/長野洋子(日経BOOKプラス編集) 写真/洞澤佐智子



