日経xwoman編集部が認定した、情報発信力が高い 日経xwomanアンバサダー 。2023年、この日経xwomanアンバサダーの皆さんが集う場に日経BOOKプラス編集部がお邪魔し、2023年に話題になった「日経の本」を届けました。
経済や歴史、お金…とさまざまなジャンルの注目の本を紹介。20~50代の情報感度の高いアンバサダーの皆さんには、どんな本が人気だったのでしょうか。読後の感想とともに、おすすめの日経の本を紹介します。
読むと感想が言いたくなる、SNSで話題のベストセラー
『最後はなぜかうまくいくイタリア人』宮嶋勲著
2015年に刊行された単行本を2018年に文庫化した『最後はなぜかうまくいくイタリア人』は、2023年夏にSNSで話題沸騰、たちまち10万部のベストセラーとなり、注目を浴びました。
アポの時間は努力目標、公私混同は当たり前、嫌なことは後回し――。私たち日本人とは何から何まで対極的なイタリア人の生態を、ワインジャーナリストである著者が、リアルな体験談とともに紹介しています。
「いつでも仕事し、いつでもサボる」「有意義な一日は、脱線により生まれる」「好きか嫌いか、美しいか醜いかで物事を判断する」という3つのエピソードが特に好きです。細かいことにこだわらない人が多いのは平和でいいし、脱線があるから予想外の楽しいことに出合えるし、損得だけで決める人生は味気ないですもんね。著者の宮嶋さんは、いろいろな仕事のシーンで散々な目に遭っているのですが、この本も「(イタリア人を)なぜか憎めないんだよなぁ」と思いながら書かれている様子が目に浮かんできます。
例えば、断られても失うものはない、ダメなら次!という「ダメもと精神」。とにかく目の前のことに100%集中し、今を大切にする姿勢に、まずは一歩踏み出し前に進んでみることの大切さを学びました。
また、「チャンスが来たらつかむ Attendismo(待機主義)」にも感銘を受けました。一見、受け身の姿勢にも見えますが、大切な一瞬のチャンスをつかみ取るために努力し続けることの大切さを教えてくれる言葉でした。チャンスをつかむキーポイントはアンテナを立てているか、信頼や実績があるかの2点という指摘も、準備の重要性を思い出させてくれました。読みやすいのに、学びが多い。おすすめの1冊です。
真面目に働いてきた人に刺さる――
『静かな働き方』シモーヌ・ストルゾフ著、大熊 希美訳
本当の成功とは何か。人生を取り戻した人たちのストーリーが教えてくれる、大切なこと。ペンシルベニア大学ウォートンスクール教授のアダム・グラントも「過労に悩む人や人間らしさを見失っているリーダーへの警鐘となる1冊!」と評するNYタイムズベストセラー。ジャーナリストで有名デザインコンサル会社IDEOのデザインリードを務めた著者が、自身の退職を機に、仕事中毒となった米国ホワイトカラーの実態とその背景にある仕事の「神話」に疑いの目を向け、「適度な仕事」を問い直す全米話題作です。
昨今の仕事における「パーパス」重視の思想が、時に過重労働を引き起こすことに強い警鐘を鳴らす、働き方を見直したいすべてのビジネスパーソンにすすめたい1冊。
個人の実体験が詳細に描かれているので、仕事上の課題が違ったとしても教訓になり、自分ごととして受け止めやすい印象を受けました。
また、「自分の価値=仕事」だと思い込みやすい現代の傾向に注意を促し、自分を守るには「仕事以外の自分の価値を見いだす必要がある」という登場人物の生の声がすごくリアルに感じました。
仕事以外の趣味や興味、情熱をぶつけるものがある人のほうが、仕事でも生産的になれることが研究によって示されているということも初めて知りました。さらに、ストレス耐性が強くなる傾向もあることは、キャリア支援をする上でとても参考になりました。エピローグにある、読者に対し内省を促すメッセージも、幸せに生きる上で必要な言葉だったように思います。
実は私も、かつてはバリバリ稼ぐことを是として仕事をしてきた1人です。私の場合は、慢性の自己免疫疾患の発症が転機となり、自分が持てるリソースの中で「ほどよく」社会に貢献できる活動を求めて、働き方が変わりました。ハードな仕事を辞めて「ほどよい」にシフトする。確かに体力的には楽になりますが、乗り越えるのが一番大変だったのは、本書に登場する人々と同様、以前ほど生産的ではない自分と向き合うことでした。自分で「これでいい」と思っていても、社会全体がより多く、より高い生産性を上げることを是とする中では、ふとしたときに無力感や罪悪感めいたものがむくっと顔を出したりするのです。
本書は、そんな葛藤を受け止めてくれるとともに、「ほどよい」を選ぶことは、仕事中心に走ること以上に、自分と丁寧に向き合うことでもあるのではないか、と気づかせてくれました。そして、自分と向き合ったからこそ手に入る納得感と幸福感、そういったものを大切にしていきたいと改めて思いました。
仕事を辞めずに介護する時代
『仕事は辞めない! 働く×介護 両立の教科書』 木場猛、佐々木裕子著、日経クロスウーマン編
団塊の世代のすべてが後期高齢者となるのが2025年。「大介護時代」はもう始まっています。多くの人が働きながら介護をすることになるなら、必要なのは「休みやすい職場環境」より、むしろ「仕事を休まずに介護をこなすための知識」。突然やってくる介護に慌てないために、「働く」と「介護」を両立させるために誤解してはいけないことについて、20年間以上介護と仕事の両立を支援してきた東大卒の介護福祉士で著者の木場猛さんが詳しく解説しています。
「教科書」とあるように、この本は、自分自身が何に備えておくべきかという話から、実際に親の介護が始まってからやるべきことまで、具体的に解説してくれます。
今は、仕事と両立しながら介護する時代。では、どうやったら両立できるのか。認識を変えたほうがいいこと、注意すべきことも詳しく書かれていて、親も私も元気な今のうちに準備できることがあると、改めて実感しました。実は、勤め先でも介護の問題が注目されており、最近、ヒアリングを受けたところでした。このタイミングで読めたことは、とてもありがたかったです。
構成/長野洋子(日経BOOKプラス編集部)


