きみの人生に作戦名を。 』『 「言葉にできる」は武器になる。 』の著者である梅田悟司さんのトーク&ワークセミナーが2023年3月9日、八重洲ブックセンター本店のフィナーレイベントとして開催されました(同店は2023年3月31日をもって閉店)。当日はモニターが参加して、『きみの人生に作戦名を。』で紹介されている「9マスシート思考法」を使って、梅田さんがモニターの「作戦名」を付けるを実施しました。( 前編はこちら

“絶望”から天職に巡り合うまで

 2人目のモニターは、ぽっちゃりサイズモデルのはまゆっこさん。「新卒2年目の時に精神疾患で入院し、その後もたくさんの仕事を経験してきました。ライターやデザイナー、司法書士の補助など一貫性がなく、魚類学者・タレントのさかなクンみたいにずっとひとつの仕事をする人に憧れていました。今回のワークをやってみて『私って一貫性あったんだ』と気付き、今までやってきたことがちゃんと地続きだと分かって自分を肯定できました」(はまゆっこさん)。

<span class="fontBold">はまゆっこ/プラスサイズモデル</span><br> 日本のプラスサイズモデル。サイズはL~XL。自分を愛することの大切さを伝えたくてプラスサイズモデルとして活動開始。25歳の時に統合失調症を発症。34歳で子宮腺筋症を発症、その頃、ボディポジティブやセルフラブの考え方に出合う。自分の人生を変えようと様々なことにチャレンジして今に至る。モデル・俳優活動以外にも本の出版やYouTuberシラハマTVなど活動の幅を広げている
はまゆっこ/プラスサイズモデル
日本のプラスサイズモデル。サイズはL~XL。自分を愛することの大切さを伝えたくてプラスサイズモデルとして活動開始。25歳の時に統合失調症を発症。34歳で子宮腺筋症を発症、その頃、ボディポジティブやセルフラブの考え方に出合う。自分の人生を変えようと様々なことにチャレンジして今に至る。モデル・俳優活動以外にも本の出版やYouTuberシラハマTVなど活動の幅を広げている

 「入院の後、現在まで10年ぐらいはいろいろな職を転々として、仕事をしては心の調子を崩して辞めるのを繰り返していました。そしてようやく天職に巡り合います。
 現在のぽっちゃりサイズのモデルは努力が苦じゃない、仕事が楽しい、こんなに無理なく努力が実って活躍できるということに衝撃を受けました。
 大きな病気をして生きづらさを抱えていたのは、居心地のいい場所を見つけることの大切さに気付くためだったのかと思えるようになりました。自分の生き方や生きざまを肯定し、過去のつらかった自分を助けるためにも、今を楽しく生きることが大事だと思っています」(はまゆっこさん)。

はまゆっこさんが記入した9マス思考法シート
はまゆっこさんが記入した9マス思考法シート
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「ムリはムリ。好きは好き。」から導き出した作戦名

 生きづらさを抱えていた過去から抜け出し、天職を見つけたはまゆっこさんに、梅田さんは「ムリはムリ。好きは好き。」というコピーを提示しました。そして作戦名は、

「踏み出したら、肯定できちゃった。」

 「自己肯定をしたくて何かをやり始めたのではなくて、いろいろやってみた結果できちゃった、だからみんな自分の“好き”に従ってみようよ、みんな踏み出したら自己肯定できちゃうからやってみなよ、という作戦名がいいと思いました」(梅田さん)。

 「以前は、自分が魚なのに歩こう、走ろう、あるいは空を飛ぼうとしていたのだと思っています。ようやく海にたどり着いたときに、陸や空にいたときは無理をしていたんだなと気付きました。だから、『ムリはムリ。』という言葉はすごくしっくりきました。今はようやく海にたどり着いて泳げる状態になって、自分の好きな環境で自分の好きなことをしていて自分のことも好きになれて、まさに自分を肯定できるようになったなと感じています」(はまゆっこさん)。

 この話を聞いて、梅田さんはその場でコピーを書き直しました。

「好きを選んだら、肯定できちゃった。」

 「話を聞いていくうちに、このコピーのほうがよりマッチすると思った」と梅田さんは言います。はまゆっこさんも「ライブ感ありますね(笑)。うれしいです!」

<span class="fontBold">梅田悟司(うめだ さとし)/コピーライター、コミュニケーション・ディレクター、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授</span><br>1979年生まれ。上智大学大学院理工学研究科修了。電通にて国内外の広告賞・マーケティング賞、グッドデザイン賞や観光庁長官表彰などを受ける。CM総合研究所が選出するコピーライタートップ10に2014~18年の5年連続で選出。主な仕事に、ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」。TVドラマのコミュニケーション・ディレクターや、ベンチャー企業のコミュニケーション戦略立案なども行う
梅田悟司(うめだ さとし)/コピーライター、コミュニケーション・ディレクター、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授
1979年生まれ。上智大学大学院理工学研究科修了。電通にて国内外の広告賞・マーケティング賞、グッドデザイン賞や観光庁長官表彰などを受ける。CM総合研究所が選出するコピーライタートップ10に2014~18年の5年連続で選出。主な仕事に、ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」。TVドラマのコミュニケーション・ディレクターや、ベンチャー企業のコミュニケーション戦略立案なども行う

やってきたことは、バラバラでいい。

 「多くの人は、さかなクンみたいにはなれないんです。それを前向きに諦めていくことが重要だと思います。いかに“見える一貫性”の呪縛から解放されるか、自分を解放していくかが大事です。そしていかに“見えない一貫性”に光を当てることができるか。これができるのは自分しかいないんです。そこに向き合ってほしいです。そして見えない一貫性に気付いて、できれば言葉にする、名前を付けるということをやってほしいです。

 本日、モニターの方にそれをやっていただいて、少しだけお手伝いさせていただきました。言葉にするには少しだけコツがいりますが、ちゃんとできます。だから、プロセスを重要視しながら、ぜひ名前をつけるというワークをやっていただけるとうれしいです。9マス思考法というのは、その1つの手段に過ぎませんが、まずはやってみていただければきっと役に立つと思います」(梅田さん)。

「作戦名とともに、自分の人生を!」

 「作戦名とともに自分の人生を生きていっていただきたいと思っています。自分の人生を取り戻すことは自分にしかできません。“個性よりも社会性”と世間では言われます。社会性も大事ですが、やはり自分は重要です。今後はもっと個人の重要性が高まってくると思います。自分の軸を見つけるために、ぜひ作戦名を付けてみてください」(梅田さん)。

構成・文/内藤由美 写真/稲垣純也

すべての人に勇気を与える一冊

不安の時代でも、人生は続く。どう生きるかは自分で決めていいのだ! あなたの中に眠る言葉を紡ぎ“作戦名”に昇華させたとき、人生の新しいステージが始まる。超ロングセラー『「言葉にできる」は武器になる。』の著者が放つ、今を懸命に生きる人へのメッセージ!

梅田悟司著/日本経済新聞出版/1650円(税込み)
注目のコピーライターが語る、人を動かす言葉の秘密

「人に伝える・動かす」は、多くの人がさまざまな場面で直面し、悩むテーマ。いかに言葉を磨き上げるか? 誰にでもできる方法論を具体的に解説する。ビジネスコミュニケーションや企画のプレゼンなどの仕事シーンはもちろん、私生活でのアピール、就職・転職活動にも役立つ考え方が満載。

梅田悟司著/日本経済新聞出版/1650円(税込み)