内容紹介

日経BPクラシックス 第15弾

 本書を読んで、私と同じ考え方が少なからずあることに気づいた。特に、奇襲や間接アプローチ戦略の追求を何度も強調していることだ。これにより、戦術論も含め、原理的な軍事思想ほど不変の価値があるという確信を得た。



 それから第二次世界大戦の真っ只中の約15年後、蒋介石の教えを受けたという中国の駐在武官の訪問を何回か受けた。彼によれば、中国の陸軍軍官学校では、私の著書やフラー将軍の書物が主たる教科書として使われているという。

私は「『孫子』は使わないのか?」と質問した。すると、「古典としては尊重されていますが、青年将校の大半は時代遅れと考えています。従って、近代兵器の時代ではほとんど研究するには値しないと思っています」という答えが返ってきた。



 そこで、私は「君たちは『孫子』に立ち戻るべき時期にきている」と指摘しておいた。この短編には、私が20冊以上の本を書いても論じられないほど多くの戦略や戦術の原理が説かれているからだ。

要するに、『孫子』は、戦争論に関する簡明かつ最高の入門書であるだけでなく、研究を深めるほどに座右の書として手放せなくなる一冊なのだ。

 (ベイジル・ヘンリー・リデル=ハートの序文から)