内容紹介

ある日、母が認知症を発症した--。息子(50代独身男)は戸惑い、狼狽する。
母と息子。たった2人の奮闘記が始まる。男一匹、ガチンコで認知症の母と向き合った。


本書を執筆したのは、科学ジャーナリストの松浦晋也です。
男性、50代。実家に母と同居しながら、気ままな独身生活がこの先も続くと信じていました。
ところが、人生を謳歌していたはずの母親が認知症を患います。
母の様子がおかしいと気がついたのは、「預金通帳が見つからない」と言いだした時のこと。
誰だって、自分が確立した生活を崩したくないもの。様子がおかしいと認めなければ、それは現実にはなりません。
そんな甘い意識から見逃した母の老いの兆候は、やがてとんでもない事態につながっていきます。
初動の遅れ、事態認識の甘さ、知識、リソースの不足…。
認知症の親の介護について描かれたノンフィクションストーリーはたくさんありますが、
「50代・独身・男性」が1人で母の介護に向き合うケースはまれでしょう。
認知症・母の介護を赤裸々かつペーソスと共に描いたノンフィクションストーリー。是非、ご覧ください。

≪主な内容≫
【第1章】「事実を認めない」から始まった、私の介護敗戦
  好き勝手に生きて、直面した介護/「うっかり」だと思いたかった私
【第2章】母は「認知症?私はなんともない!」と徹底抗戦
  献身する者が憎まれる不合理/そして自分が入院してしまう
【第3章】その名は「通販」。認知症介護の予想外の敵
  過去の「おかしなこと」が噴出する/「知らない」「買ってない」を何度も繰り返す
【第4章】家事を奪われた母が、私に牙を剥く
  「これはまずい!おいしいものを頂戴!」/なんとかなるさ、もう少しがんばれば
【第5章】介護のストレスで自分が壊れ始めた
  神経が焼ける感覚、ついに幻覚が/温泉で湯あたり、散歩で転倒
【第6章】「兄貴、ぜんぶ自分で抱え込んじゃダメだ!」
  悩む前にまず「地域包括支援センター」/困っていることは隠さず強調すべき
【第7章】「イヤ、行かない」母即答、施設通所初日の闘い
  運動に熱心に取り組んでいた母/3時間、つかの間の解放感を味わう
【第8章】家族が「ん? ひょっとして認知症?」と思ったら
  「その日」が来る前にやっておくこと/もしも親孝行をしたいなら
【第9章】父の死で知った「代替療法に意味なし」
  薬機法を通らない(通さない)ことの意味/「同情するなら金をくれ」