内容紹介

2012年に発表した「成長の終焉」論文で、アメリカ経済の成長率の鈍化と長期停滞入りを予言したロバート・ゴードンによる画期的なアメリカ経済史。
上巻は、南北戦争後の1870年から第二次世界大戦中の1940年までを扱う。
下巻には齊藤誠一橋大学教授の解説を収録。

ロバート・ゴードンは本書で、富について アメリカ人が過去にどのように富を創造し、享受してきたかを論じている。今後縮小するパイをどう分け合うかを議論するのではなく、さらに富を創出しようと思うのであれば、本書を読み、理解しなくてはならない。
ピーター・ティール、起業家、投資家、『ゼロ・トゥ・ワン』の著者

アメリカの歴史を知るうえで欠かせない「生活水準」が余すところなく語られている本書は、興味が尽きない。ゴードンは、生き生きとした描写と印象的な統計で生活様式の変遷を浮き彫りにし、われわれは今後も引き続き満足な生活ができるのかを問いかける。
その答えは意外なもので、将来の経済成長についての常識的な見方を覆す。比類ない画期的な書と言えよう。
ロバート・ソロー、ノーベル経済学者

本書はきわめて重要な結論をもつ力作である。具体的な事実と深い洞察が満載で、ページをめくる手が止まらない。読者はわくわくしながら、新たな発見をすることになるだろう。奥深い内容でありながらも、じつに読みやすい。
ジョージ・アカロフ、ノーベル経済学者

「本書では、アメリカの経済成長が著しく高まった一八七〇年から一九七〇年を「特別な世紀」として順を追ってみていくが、そこで取り上げる物語は世界共通のものである。あらゆる発明や改善が、とくに第二次大戦後の三〇年に、日本をはじめ世界各国に広がったからだ。
一九九〇年以降の日本の経済成長率は、戦後の早い時期にくらべて見劣りするが、一九九〇年から二〇一六年の生産性の伸び率は、アメリカのそれと遜色ない。日本のみならず、アメリカや他の先進国も、過去にくらべて生産性の伸びは鈍化している。
その理由は本書で詳述するが、現在進行中のイノベーションは、かつて電気や内燃エンジンなどを生み出した「大発明」にくらべて、生産性の伸びに与える影響が小さいためである。
アメリカの成長を鈍化させる要因として本書で取り上げた逆風のうち、教育と格差について日本はアメリカほど深刻ではない。日本が抱える高齢化と人口減少の問題はたしかにアメリカよりも大きいが、それによる日本の財政の逆風は誇張されているふしがある。」
本書日本語版への序文より 2012年に発表した「成長の終焉」論文で、アメリカ経済の成長率の鈍化と長期停滞入りを予言したロバート・ゴードンによる画期的なアメリカ経済史。
上巻は、南北戦争後の1870年から第二次世界大戦中の1940年までを扱う。
下巻には齊藤誠一橋大学教授の解説を収録。

日本語版への序文
序文
第1章 はじめにーー成長率の上昇と低下
第1部 一八七〇~一九四〇年 大発明が家庭の内外に革命を起こす
第2章 出発点ーー一八七〇年の生活と仕事
第3章 何を食べ、何を着ていたのか。どこで買っていたのか。
第4章 アメリカの住宅ーー暗く孤立した住宅から、明るくネットワーク化された住宅へ
第5章 馬と鉄道に代わる自動車ーー発明と斬新的な改良
第6章 電報からトーキーへーー情報、通信、娯楽
第7章 不潔、残酷、短命ーー病気と早死
第8章 職場と家庭の労働環境
第9章 リスクを取る、リスクを緩和するーー消費者信用、保険、政府

第2部に向けて 革命から進化へ 二〇世紀半ばの変化