株や投資信託などの金融商品で得た利益にかかる税金がタダになるNISA(少額投資非課税制度)が大改正され、2024年1月から非課税投資枠が大幅に拡大し、投資期間が無期限になって使いやすくなりました。『 世界一かんたんなNISAとiDeCoの得する教科書 』(宝島社)などの著書があるファイナンシャルプランナーの藤川太さんは、「まずは自分に合った『投資の始め方』を選ぶべき」とアドバイスします。日経ムック『新NISA 商品選び完全ガイド』から抜粋。
米国ETFを活用
当社では2022年から、「ふくろう倶楽部」という相場監視ロボットを用いた一般個人向けの資産運用アドバイスを、Web上で無料提供しています。最初に、安定型から超積極型まで6種類の運用コースから自分に合ったものを選ぶと、統計的に有利な資産配分や該当する投資信託の例などが示されます。市場環境に応じて「攻め」「守り」「注意」といった投資判断のサインが出て、資産配分の変更および投資信託の売買を指南する仕組みになっています。
この「ふくろう倶楽部」のノウハウに基づいて現在、米国ETF(上場投資信託)を使った有料の会員制運用サービスのテスト運用を開始しており、事業化に向けて準備を進めているところです。こちらのサービスでは、株式や為替などの相場に影響を与えるさまざまなリスクに対して適切な資産を拾い出し、それらを組み合わせてバランス運用型のポートフォリオをつくります。
私の新NISAの活用法ですが、開発した運用システムを使って自分の資産運用を始めているので、成長投資枠で同様の運用を行う予定です。具体的には、候補として20銘柄程度の米国ETFをピックアップしておき、そのうち2~6銘柄を使って、時々で最適なポートフォリオを組むことになります。投資対象となる資産は、米国のナスダック100指数からエネルギー関連などのセクター株指数、コモディティ(商品)指数、各種の債券指数まで多岐にわたります。
米国ETFを使って米国市場中心の運用を行うのは、投資を通じて経済成長の果実を獲りに行くのならば、やはり米国市場が最も条件にかなっていると考えるからです。
この運用システムは、バランス運用型のポートフォリオをつくると先述しましたが、私の場合はバランス型といっても相当に積極的なスタンスです。もし、私と同じような運用戦略が向いている人を挙げるとすれば、投資経験があってリスク許容度が高く、マーケットをよく見ている人でしょう。運用戦略を変更するとしたら、それは運用システムの有効性が失われたときです。
例えば世の中の仕組みが変わって、それがマーケットに反映され、想定とは異なる動きが長く続くような場合には、別のシステムに切り替えるつもりです。
商品を選ぶ前に投資の始め方を選ぶ
一般的な個人にとって新NISAの活用は、どのような運用を行うかということよりも、むしろその前段階に問題があると感じています。当社に相談に来られるお客さまを見ていると、NISAを始めたいという意欲は非常に高いものの、口座を開くのに四苦八苦する人や、口座は開いたけれど投資はしていない人が多いのです。
投資経験のない人が、例えばネット証券に総合口座を開いて、次にNISA口座をつくって、さらに入金して投資を始めるとなると、かなりハードルが高いのではないでしょうか。対面型の証券会社や銀行は、投資信託の回転売買などで批判を浴びていますが、その場で具体的な相談や手続きもできるし、投資に向けて背中を押してくれることは確かだと思います。
あまり細かいことを考えすぎずに、対面型の証券会社でも銀行でもいいから、とにかく投資を始めてみてほしいのです。その意味では、商品選びの前に、自分に合った「投資の始め方」を選ぶことが大切になります。
入金までクリアできて商品を選ぶ際にも、それほど悩む必要はありません。何を選ぶにしても、まずは積立投資で小さく始めて、値動きを経験してみることが最も重要です。子どもの頃を思い出してください。自転車だって実際に乗ってみないと乗り方は分かりません。慣れてくれば口座の変更を考えればいいのです。
元本割れリスクを極力抑える
投資経験の浅い人が最初の1本を選ぶにあたっては、年齢にかかわらず、バランス型ファンドをお勧めします。株式ファンドに比べて元本割れする確率が低いからです。
例えば先進国株に投資する為替ヘッジなしタイプのファンドに初期投資額0円、毎月の積立額5万円で10年間投資した場合を考えてみます。10年後には投資元本が600万円で、運用結果の中央値は1012万円、収益率は約68%のプラスとなります。
一方で、元本割れする確率も12%強と結構高くなります。運用開始時の相場レベルや運用期間中の相場動向に、運用結果は意外と大きく左右されるのです。
同じ条件で安定成長型のバランス型ファンドに投資した場合はどうでしょうか。運用結果の中央値は769万円、収益率は約28%と低くなりますが、元本割れ確率も1.796%まで低減されます(図表参照)。
新NISAは利益が出なければ非課税の意味がないので、元本割れリスクを極力低く抑えることが重要です。50歳以上で運用期間が相対的に短い人や、50歳未満でも子どもの教育費など運用の目的が決まっている人は、バランス型ファンドでの運用を検討してみてはどうでしょうか。
子どもが生まれてから10年程度は運用期間が取れるので、教育費をつくるのにも新NISAは十分活用できるはずです。
ちなみに私も子どもの教育費は、株式と不動産の売却益で大部分をまかないました。そのときにNISAがあって、非課税だったら、なお良かったと思います。だからこそ、これから資産形成する方は、新NISAを積極的に活用して非課税運用の恩恵を受けてほしいですね。
取材・文/白浜一世(エディト)
株や投資信託で得た利益にかかる税金がゼロになるNISAが大改正され、大幅に使いやすくなりました。第一線のFP、アナリストらが、NISAで注目の投信、株、ETFを多数紹介します。巻頭対談には日向坂46の佐々木久美さんが登場。
日本経済新聞出版編/日本経済新聞出版/1320円(税込み)


