その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は日経ナショナル ジオグラフィック(編)の『 博士が愛した論文2 自然科学系研究者19人が語る「偏愛論文」アンソロジー 』です。

【はじめに】

 あなたの「偏愛」論文を教えてください。

 昨年刊行した前作に続き、今回も19人の研究者の皆さんが、この問いかけに答えてくださいました。

 前作の「はじめに」にも書いたのですが、この企画を思いついたのは取材でお会いした研究者の方から、論文の面白さを紹介する場があればいいのにとヒントをいただいたのがきっかけです。たしかに、研究論文の書き方についての指南書はたくさんあるけれど、論文そのものの魅力を現役の研究者が語った本はあまり見つかりませんでした。

 そこで前作を企画し、19名の方々に冒頭の質問をしたのですが、皆さん「そういうことならば、とっておきの一本がありますので」と応えてくださったのがとても印象的に残りました。そうして集まった原稿には、研究テーマと真摯に向き合ってきた熱量が漲り……いや、漲るというよりは、文字通り「溢れ返って」いました。一方で、何をもってこの論文を選んだのかの理由については論理的に述べられており、先達たちが連綿と紡いできた科学という営みの本質を垣間見ることができました。これはもっとたくさんの方に、偏愛論文について心置きなく語ってもらいたいものだと考えていたところに続刊のリクエストをいただき、こうしてまた序文を書くことができています。

 今回もまた、ベテランから若手の方まで、様々な研究ジャンルで活躍される皆さんに「偏愛論文」について語っていただきました。世界的なニュースにもなった有名論文から、図書館でコピーした雑誌でたまたま発見した論文にいたるまで、執筆者の皆さんの個性を反映するラインナップとなっています。

 研究成果を世に伝えるため、多くの人の手を経て世に出され、研究者にとって切っても切り離せないもの――それが研究論文です。そしていまこの瞬間にも、たくさんの論文がこの地球上で誕生しています。その中のいくつかは読みつがれ、またいくつかは忘れ去られてゆくのでしょう。論文は国境や時空を越えてゆく。編集作業中、私自身何度そう感じたことでしょうか。執筆者の方が語る論文の魅力を通じて、科学の面白さや醍醐味を感じ取っていただけたら幸いです。

 ちなみに、前作刊行後、自然科学系の論文だけでなく人文社会科学系の論文についても紹介してほしいという複数のご感想をいただきました。こちらについてもその分野に造詣の深い方を編者にお招きして、いつか実現ができたら良いなと思っています。

2026年9月 編者

【目次】

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