その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は井戸美枝さんの『 私の老後のお金大全 一番シンプルで堅実な人生後半のお金の備えガイド 』です。

【はじめに】

 100年人生を25年単位で春夏秋冬に例えると、人生の「春」は誕生から24歳まで、本書では「育ちの期間」といいます。「夏」は25歳から49歳まで、自分が良いと思う方向に向かって突き進む「フル回転の期間」です。「秋」は50歳から74歳まで、人生を楽しみ尽くす「黄金の期間」。そして「冬」は75歳から亡くなるまで、人生の「おまけの期間」といえます。冬になると日差しも穏やかになりますが、春、夏、秋と人生のほとんどは明るい日差しの中にあります。人生は、本当に明るく、楽しいものだと私は思っています。いかに日々の生活の中で楽しみを見いだし味わっていくかが人生の醍醐味ではないでしょうか。

 本書のタイトルにある「老後」ですが、老後は自分で決めることができ、決めるべきものです。一生涯、やり続けたい天職に就いている方は、老後など決める必要はないといえます。それ以外の方にとっては、一般的には仕事から離れて以後が老後となるのでしょう。多くの方は人生の「秋」に(長く働いた方の場合は人生の「冬」に)老後を迎えることになります。

 老後の期間を充実した時間にするには、現役の時からの準備が大切になります。これはお金の準備の話だけではありません。現役のときから、日々の生活をいかに楽しむかが鍵になります。というのも、「老後は海外も国内も旅行したい」「キャンピングカーで全国を回ってみたい」という夢があったとしても、それらを20年も30年も続けることはできません。必ず飽きてきます。海外移住したとしても、いずれは日本に帰ってきたいという望郷の念から逃れることはできないように思います。

 つまり、充実した老後を過ごすために大切なのは、大きな夢をかなえることよりも、日々の生活の中でいかに楽しむことができるかなのです。例えば私の場合は、スイーツが大好きで、甘い物を食べると日々の生活が明るくなるように感じます。その中でも、毎日食べるほど大好きなのがプリンです。日本だけでなく海外でもプリンを食べ歩きましたが、残念ながら海外のプリンでおいしいと思えるものはほぼなく、日本のプリンが一番だという結論に達しました。そして、人生の秋を迎えている現在の私のプリンは自家製です。卵と豆乳だけで作り、オリゴ糖のシロップやほんのり甘い蒸しあずきを少量トッピングします。毎日食べても飽きません。昼と夕、1日に2個食べると、1日に必要なタンパク質の半分が摂取できます。私のエネルギーの源でもあります。老後ももちろん食べ続けるつもりです。

 このように現役時代から、自分の老後の生活に欠かせない要素が具体的に分かると、おのずと老後に必要となるお金の大枠が決まっていきます。例えば、自家製プリン1個の原価はおよそ60円です。朝食として毎朝食べるアーモンド入り豆乳ヨーグルトの原価は100円です。これらで1日に必要なタンパク質の4分の3を得ることができます。外食は口に合わないので昼食、夕食も基本自炊します。好きなように食べても、1人分の食費は月4万円以下です。私の場合、老後の生活費は、実はそれほどかからないのです。

 ですから大切なのは、現役のうちからなんでもやってみて、自分が楽しめるものを見いだし、日々の楽しみを増やしていくことです。プリンを例に挙げましたが、日帰り旅行、散歩、楽器演奏、コーラス、美術鑑賞、読書などなど興味のあるものからどんどんとトライしましょう。

 また、老後の生活に欠かせないのが人とのつながりです。できる限り現役のときから、仕事とは関係のない人とのつながりをつくっておくといいでしょう。老後を迎えたスタートの日から、いきなり新たな人とのつながりをつくるのは難しいことです。人と人とのつながりは、仕事やお金のつながりとはまったく異なるところでできあがってくることもあります。

 この本では、よりよい老後生活を送るために知っておいてほしいこと、今からできることをまとめています。もちろんメインはお金の話です。「結局、老後資金はいくら必要?」「自分が将来もらえる年金額は?」「年金だけでは足りないならそれを補うにはどうしたらいい?」といった、皆さんが抱いている老後のお金についての不安や疑問に数多く答えています。一概には答えられないことも多いですが、できるだけ皆さんが具体的にイメージしやすいよう、たくさんの事例やシミュレーションを取り入れています。皆さんそれぞれが自分に近い事例を見つけ、自分の場合はどうなるのかを考え、プランを描けることを目的としています。性別、年代に関係なく、すべての現役世代の方のヒントになるよう工夫しました。

 ぜひ本書を手に、自分だけの老後のお金プランを作ってみてください。

井戸美枝

【目次】

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