その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は中島美鈴さんの『 会社でいちいち傷つかない 認知行動療法が教える、心を守り成果を出すための考え方と行動 』です。
【はじめに】 会社の人間関係はなぜすれ違うのか
突然ですが、職場でこんなことはありませんか。
仕事でわからないことがあっても聞くことができない。
自分でなんとかしようとして、残業してしまう。
愚痴を言う同僚に付き合わされて、嫌なのに断れない。
仕事が遅く、要点をはずしてしまい、上司からの評価が低い。
時間通りに仕事が終わらない。計画的に進めることができない。
上司がなかなか決めてくれず、振り回される。物事が進まずイライラする。
部下とのコミュニケーションに悩んでいる。指示通りにしないのはなぜか、わからない。
パワハラになるから強く言えない。
みなさんは、これらと似た経験をしたことはありませんか?
山のように仕事を抱えながら、誰にも相談できず一人でこなさなければならないつらさや、上司に振り回されながらも角が立たないようにふるまわなければならないストレスに、心も体も悲鳴を上げていませんか。あるいは、同僚や部下とのコミュニケーションに悩みつつも、どう切り込んでいけばいいかわからず、途方に暮れていないでしょうか。
若手も中堅もベテランも、働いている方なら誰もが職場で大小のストレスを抱えて過ごしていると思います。しかし、その悩みがあなたを苦しめ、本来の力を発揮できずにいるのであれば、とてももったいないことです。
はじめまして、私は認知行動療法を用いてカウンセリングを行っている臨床心理士の中島美鈴と申します。これまで福岡県職員や一般企業の方を対象に、カウンセリングや企業研修を実施してきました。職場で働く人がどのような悩みを抱えていて、組織にはどのような課題があるのか、そして、それらをどのように解決していけばいいのかを、日々カウンセリングを通して伝えています。
こうした経験をもとに、本書では、職場の悩みに焦点をあてて、自分の心を守りながら仕事で成果を出す方法を1冊にまとめました。仕事の悩みには時間管理などの認知行動療法が得意とする分野も含まれているので、仕事の生産性を上げることにもつながるのです。
本書は、序章で、近年の働く人は何にストレスを感じ、悩んでいるのかを示し、それを読み解くための認知行動療法の基本的な知識である「自動思考」と「スキーマ」について解説します。
第1章~5章では、よくある職場の悩みを、エピソードをもとに紹介します。それを認知行動療法の視点から読み解き対処法を示します。さらに、似た場面では、どのように応用できるかを伝えます。始めから順にお読みいただかなくても、「自分に似ているケースはないか」と眺めて、ピンときたところからお読みいただくこともできます。
悩める新入社員や、仕事の評価や進め方に課題を感じる中堅を中心に、管理職になったもののプレーヤーとは違う難しさを感じているベテランまで、どなたでもお読みいただけるように工夫しました。
実際に自分に当てはめて考え直したりやってみたりすることで、仕事のサイクルがうまく回るようになったり、対人関係で徐々に傷つきにくくなっていきますよ。
仕事は、お給料を得て、暮らしを成り立たせるための手段のひとつです。職場を、あくまでも仕事をする場と捉え、ストレスや悩みに適切に向き合う方法を知れば、もっとラクに働くことができるようになるはずです。
カウンセリングで出会った多くの方が、認知行動療法の手法でどんどん活躍していく姿を見てきました。このノウハウが、働く読者のみなさまにとっても役立つものであればうれしいです。
令和7年11月 中島美鈴
【目次】












