月3万円の積み立て投資を続けていけば、あなたも「億り人」に――。時間を味方につければ、それは決して夢物語ではありません。今回は、特別な投資のノウハウがなくても資産を増やす方法を解説します。人生後半を充実させるために役立つマネーや健康の知識を実践的に解説する書籍『50代から輝く! 「幸福寿命」を延ばすマネーの新常識』(田中彰一著)から抜粋・再構成。
4種類いる億万長者
億万長者は大きく4つの種類に分かれると思っています。1つは卓越した経営者。一代で事業が成功して財を築いた方で、世界長者番付に顔を出す大富豪はおおむねこのパターンでしょう。日本では「ユニクロ」の柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長や、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が該当します。
次に不動産オーナー。いわゆる資産家ですね。代々不動産などを継承してその運用などで資金を得ている方です。ヨーロッパではこの手の富豪が多いようです。日本では1980年代後半ににわか土地長者が相次ぎましたが、バブル崩壊で姿を消しました。
3番目は株長者。株式投資で成功をした方々です。日本ではこのタイプが大半でしょう。最後に仮想通貨(暗号資産)。2017年の暗号資産ブームの頃からでしょうか。労せず1億円超の金融資産を築いた投資家が次々に誕生し、メディアで大いに話題になりました。
不思議なのですが為替売買で巨万の富を得た「ドル円長者」「FX(外国為替証拠金取引)名人」はほとんど聞いたことがありません。債券長者もやはりいませんね。財を成す手段はどうやら株式限定のようです。
先進国株価指数などに限定
「億り人」は、ある映画の名前をもじった造語にすぎないので定義はありませんが、おおむね株式など有価証券の運用によって金融資産を1億円以上稼いだ投資家層を指しています。特別な幸運やたぐいまれな技能によって財を得たわけで、早期リタイアする「専業投資家」も目立ちます。地道に働いて生計を立てている庶民とは無縁の世界のようです。
ですから、タイトルに掲げたように、月数万円単位のおカネを用意すれば「億り人」に、などといわれると、どう考えてもそんなうまい話はないわけで、ペテンか詐欺か、百歩譲っても誇大広告か何かだろうと思ってしまうわけです。
どっこい、ウソ偽りなくホントだよ、というのが今回の話です。もちろん、魔法ではないので投資環境などに一定の条件を置くことが前提にはなってきますが、それを満たせば誰でも億り人になれる、どころかうまくいけば25億円手に入ります、という奇天烈な結果までお伝えします。
さあ、半信半疑(笑)で読み進めてください。
この方法は月3万円を投資するのですが、投資の技法やノウハウ、スキルを高めるのではなく「時間」を味方につけるのです。
順を追って説明しましょう。まず毎月(毎週でも可)、株式インデックス型の投資信託を購入します。いわゆる積み立て投資ですね。先ほども述べましたが、債券インデックス型では億円レベルに到達しません。株価指数に連動させるタイプの投信に限定します。しかも、株価指数もアジアや中南米などの新興国のものではなく、(1)全世界株、(2)先進国株、(3)米国株、(4)日本株の4つのタイプに限ります。
リターンを見ると5年でたいてい改善
株式インデックス投信を積み立てたところで、簡単に利益が出てくるわけではありません。むしろ逆で、株安によって短期的には含み損を抱える局面もあるかもしれません。なぜなら、株価指数には景気循環の好悪によって上げ下げの波があるからです。この波をリスクといいます。
リスク(振幅)に対してどれだけプラスリターンを得られたかという投資効率を期間別に調べると、日本株も米国株も1年では数値が低くなりました。先ほど指摘したようなショック安や景気後退局面に見舞われた場合、1年では下げを埋めきれない場合が多いからです。
ところが、5年になると数値が劇的に改善します。たいていのショックや急落は3年で治癒して含み益が増え始めるのです。その後10年、20年でも投資効率という点ではあまり差が見られません。つまり、運用が報われる節目は5年前後と結論づけてよいのではないかと思います。
月3万円、40年間で1億円超え
米国株や全世界株などの株式インデックス投信を積み立てた場合、実際どの程度の資産を得られるのでしょうか。25歳で運用を始めて65歳までの40年間、月額1万円で積み立てるとして、シミュレーションするとどうなるでしょうか。
世界経済成長並みの利回り3%で約900万円、日本企業のROEの目標達成基準である8%を当てはめると約3400万円です。ROEは株主資本に対して企業がどれだけ利益をあげられたかを示す指標で、日本株なら理論上は最低8%ずつ1株当たりの価値が上がっていくはずだと考えます。
さて、このケースで月3万円を投じれば全員が40年で1億円超えを達成する計算です。ちなみに全世界株「オール・カントリー」(通称オルカン)のリターンだと、過去5年の平均は18%です。円安効果も加わった皮算用に過ぎませんが、想定を大幅に超える高リターンを維持し続けています。40年間、3万円ずつ18%で運用できれば約25億円というにわかには信じがたい資産に達します。疑うなら金融電卓をたたいてみればいいでしょう。
そして疑う前に少しでも早く投資を始め、積み立てる期間を確保しましょう。誰でも3万円で「億り人」にしてくれる原動力は「長い運用期間」なのですから。
高配当の個別株であればもっと速いペースで1億円を稼ぐチャンスはありますが、銘柄選びに失敗したり、銘柄を乗り換えたり、相応のリテラシーが求められます。株式インデックス型投信の長期積み立ては特別なノウハウはいらず、時間だけを味方につけて財を成すわけです。この方法で金融資産を増やす場合、平均余命の長い女性が有利になります。また、応用として親子で連携する戦略なども有効になってきます。
ウソではないことが分かったらいざ始めましょう!
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田中彰一著/日本経済新聞出版/1980円(税込み)



