内容紹介

 ベンダーマネジメント、いわゆる外注管理はプロジェクトマネジメントの中でも、大きなウエートを占める業務です。最近ではベンダーマネジメントを軽視したがために、大きなトラブルにつながった事例も多発しており、プロジェクトマネジャーがベンダーマネジメントの方法論、ノウハウを体系的に学ぶことは焦眉の課題になっています。

 近年、プロジェクトマネジメントの“近代化”は大きく進展しました。にもかかわらずベンダーマネジメントはこれまで、その重要性が十分に理解されず、なおざりされてきました。依然として現場の信頼関係だけに頼った、外注管理なき馴れ合いが横行し、偽装請負を疑われるようなケースも散見されるのが実情です。

 このため、外注プログラムの不具合による品質低下や納期遅れといった、外注先の問題が発火点となるトラブルが依然として絶えません。特に最近では、インドや中国などの“異文化企業”に外注するオフショア開発も増えてきており、ベンダーマネジメントの不備からプロジェクトが頓挫するなど、悲惨な事例も報告されています。

 これだけ重要なベンダーマネジメントが軽視されてきた背景には、プロジェクトマネジメントの方法論の多くがPMBOKを基準にしているため、外注管理を発注業務中心にとらえ、実施フェーズでの外注コントロールの視点が弱かったことが挙げられます。これでは、外注を起用したプロジェクトが大半になりつつある日本のプロジェクト現場の実態とかけ離れていると言わざるを得ません。

 こうした従来のプロジェクトマネジメントの方法論の弱点を補うべく、本書はベンダーマネジメントの方法論を詳細に解説したものです。しかも、大規模プロジェクトやオフショア開発、さらに問題プロジェクトのリカバリーなど、プロジェクトマネジメント経験の豊富なコンサルタントにしか書けない現場のノウハウもふんだんに盛り込みました。

 本書では、実施フェーズでの外注コントロールだけでなく、外注ベンダー選定から契約、さらにプロジェクトの終結に至るまでの各フェーズで実践すべきことを体系的に学べます。外注ベンダーとの利害対立が発生した時の対処法や、オフショア開発の際の留意点にも詳しく言及しており、実際にあったトラブル事例と合わせ読むことで、ベンダーマネジメントの“肝”を理解することとができるでしょう。

 プロジェクトの成功とスキルアップのために、日々現場で奮闘するプロジェクトマネジャーの皆さんにぜひ手にしていただきたい一冊です。