内容紹介

◆家電製品、自動車などの部品生産の中核技術、射出成形金型の入門的解説書
◆金型の設計製作の手順や留意点に加えて、プラスチック材料などの基礎解説を充実
◆医療機器用の微細形状を造る金型、バイオプラスチックといった最新動向も収録

プラスチック射出成形金型は家電製品、自動車などのプラスチック製部品や製品を造る手段として広く普及しているにもかかわらず、日常生活で金型を見ることはめったにありません。技術者も、金型という言葉は知っていても、踏み込んだ知識を持てる機会は限られています。しかし金型の正しい知識を持つことは、現代のものづくりにおいて極めて重要です。

本書はプラスチック射出成形金型の基礎から、次世代金型技術に関する最新動向までを網羅しました。特に、金型設計、製作、成形、プラスチック材料といった基礎には多くのスペースを割いています。金型とは一体どのようなものであって、どんな機能を果たすのか、金型はどうして重要なのかといった素朴な疑問についても、理解しやすい言葉で専門用語をなるべく使わずに説明するよう配慮しました。

さらに、金型迅速生産を意識した高速ミーリングの発展、最新放電加工技術、切削加工と放電加工の新たなコラボレーション、金型生産の自動化といった、新たな動向についても解説しています。新たに登場したCNC 制御システム、超微細・精密切削による金型生産、バイオプラスチック、微細発泡成形技術、スクラップレス成形技術など、今後の金型生産と新たな挑戦に向けた技術情報も可能な限り詳細に紹介しました。

現代の金型造りでは、CAD/CAMによって生成したデジタルデータを用いて、NC工作機械で加工する生産方式が一般化しているため、設備さえあればだれでも造れるように思えるかもしれません。しかし金型技術とと成形技術には以前からの技術の蓄積が存在し、この蓄積が高度な金型生産を支えているからこそ、ITの利用もうまくいくのです。これまでの金型の技術を振り返ることは、基本として大変重要なことでしょう。

金型の基礎知識を正しく理解し、応用へ踏み出そうとする技術者の方に最適です。


※本書は、松岡甫篁・小松道男著「はじめての金型技術」(2001年初版発行、工業調査会)を基に、新たな書き下ろし部分を加えるとともに全面的に構成を改めたものです。