内容紹介
2012年4月23日から同年9月7日まで日経ビジネスオンラインに土日を除く毎日連載された『毎日読むアラン「幸福論」』の書籍化。連載終了時には絶賛の読者コメントが17付いた人気連載だった。アランといえば『幸福論』と言われるほど、いろんな人の訳で長く親しまれてきた本書を翻訳家・村井章子が意欲的な翻訳に取り組んだ。有名な「名馬ブケファロス」のくだりは、こうだ。
「赤ん坊が泣いてどうにも手がつけられないと、乳母はその子の性質や好き嫌いについて、いろいろとうまいことを思いつく。ついには遺伝まで持ち出して、この子はいまからお父さんそっくりだ、などと言う。こんな具合にあれこれ推理力を働かせているうちに、おむつに刺さったピンを見つける--何のことはない、原因はピンだったのである。」
アラン
1868-1951 フランスの哲学者。本名はエミール・オギュスト・シャルチエ。アランはペンネーム。高等師範学校を卒業後、フランス各地のリセ(高等中学校)で教鞭を執る。ルーアン滞在中に地元の新聞に日々の出来事についての考察(ポロポ)を掲載。この短文形式がアランの思想を表現するものとなり、フランス散文の傑作と評されている。
村井 章子
翻訳家。上智大学卒業。訳書に『機械との競争』『国家は破綻する』『大暴落1929』『怒れ!憤れ!』『ファスト&スロー』『リーン・イン』ほか。