内容紹介

複雑化するシステム開発の手戻りをなくし、効率化
コミュニケーションを促すシステムの図的な表現手法と開発手順を初歩から解説


あらゆるシステムが複雑化する中で、複数の専門家のチームが同時並行的に開発を進めるための方法論が求められている。そこで重要性を増しているのが、システムのモデルに基づいて開発を進める「モデルベース・システムズエンジニアリング」である。本書は、モデルベース・システムズエンジニアリング(MBSE)を志すシステムズエンジニアの参考書となることを目的としている。2013年6月に発行した「モデルベース開発」の続編でもある。

モデルベース開発における数学的アプローチおよびシミュレーション技術は、モデルベース・システムズエンジニアリングを担うシステムズエンジニアにシステム解析・妥当性確認のための具体的な手段を提供する。

一方、システムズエンジニアリングでは、制御システムに限定されない複数の領域にまたがるシステムを扱い、アーキテクチャーを決定するまでにシステム解析や妥当性確認を繰り返す。例えば、モデルベース・システムズエンジニアリングでは、ハードウエア/ソフトウエアの分割を検討する前の段階から実行可能モデルを作成し、シミュレーションによりシステム解析およびトレードオフ分析を行う。この際、モデルベース開発技術が有効である。ハードウエアとソフトウエアの協調設計はモデルベース・システムズエンジニアリングによって容易となり、今後ますますモデルベース・システムズエンジニアリングの重要性は増すと考えられる。

システムズエンジニアには、多様化するユーザーニーズに対応し、必要とされる機能を定義することが求められる。文書中心であったシステムズエンジニアリングからモデル中心に移行することが、システム構築には有効である。本書は前半で、システムモデル記述に使用されるSysMLを用いた要求分析とシステムアーキテクチャー構築について解説し、後半でモデルベース開発で用いられているシミュレーション関連技術を解説した。

出版にあたっては、慶應義塾大学大学院の西村秀和教授が執筆と全体の監修をした。また、国内においてモデルベース・システムズエンジニアリングを推進するオージス総研、日本アイ・ビー・エム、エクスモーション、豆蔵、ダッソー・システムズ、スマートエナジー研究所の各社が各章を分担して執筆。SysMLダイヤグラムの文法上の正しさについてはスパークスシステムズ ジャパンが確認を行った。

◇西村 秀和(慶應義塾大学大学院)総監修
◇藤倉 俊幸(dSPACE Japan)企画・監修