内容紹介
株式市場は本当に効率的なのか。全米150万部の超ロングセラー最新版!仮想通貨、スマートベータの内容を拡充。おすすめポイント
◆全世界で読まれている「投資のバイブル」1973年の初版以来、全米累計150万部を超え、「投資の名著」として絶賛されるベスト&ロングセラー、A Random Walk Down Wall Streetの最新版。本書の主張は「インデックスファンドへの投資がベスト」というシンプルなものだが、類書と異なる点は、なぜ他の投資方法がインデックス投資に比べて劣っているのかを、データを示してしっかり論じているところだ。過去のデータを鑑み、アクティブファンドの長期リターンが市場平均を下回ることを証明し、「猿がダーツで選んだポートフォリオを運用するのと等しい」とこき下ろすあたりは、読んでいて痛快かつ明快である。
硬派な内容でありながら、数式はほとんどなく、グラフや表を多用しており、初心者にも理解しやすくなっている。間抜けなテクニカル分析手法やチューリップからITに至るバブルの話など、読み物としても面白く読める。
◆改訂のポイント
本改訂では、第4章の「21世紀の歴史」に仮想通貨の話題を3項ほど追加したほか(仮想通貨はとんでもないバブル、実体のないいい加減なものと言い放っているが)、前回の改訂で追加した「第11章「スマート・ベータ」は本当に役立つか」の章をさらに拡充。
スマート・ベータとは、時価総額(TOPIX)や株価(日経平均)のような"単純"な要素にウエイトを置くのではなく、「財務指標」や「株価の変動率」、「配当」など、より"スマート(賢い)"な要素にウエイトを置く考えのことで、日本でもETFや投資信託の拡充で関心が高まっている。本書ではより「リスクパリティ」(それぞれ保有する商品のリスクが均等になる考え)である投資手法を解説のメインに据えている。45年以上にわたるロングセラーの待望の改訂版が出版されました。
「インデックス・ファンド投資が最強の投資法」という主張は、初版出版時からまったく変わっていません。バブルの時代も、リーマン・ショックの時代を経ても、「これが最強」だと言い続けられるのは、すごいことだと言えるでしょう。
今回の改訂版では、いま話題の仮想通貨、そして、投資手法としては最新の「リスク・パリティー」戦略などについて解説しています。時代とともに新しい手法が出てくるものの、やはり結論は変わらないというのが、この本が「バイブル」といわれるゆえんでしょう。
もうひとつ、この本で注目していただきたいのは、訳者の井手氏による「あとがきに代えて」です。井手氏は自らも投資理論の専門家で、日本語版の翻訳にずっと関わってきました。日本語版を90年代にはじめて出版したころは、日本の市場はまだ米国とは違っていて、本書は米国の事情を知る「教養本」という位置づけだっただろうと言います。しかし、最近は日本の人が読んでも役に立つ「実践の手引書」になったとしています。本書の活かし方がよくわかるので、こちらも是非熟読いただきたいと思います。
(2019.7.22)