内容紹介

デジタルの次は、「ライフ」だ。量的成長を前提とした社会から、生命・生活を中心に据える社会へ――。
医療・福祉・食・環境をつなぐライフトランスフォーメーション(LX)が拓く、日本発・次世代の成長戦略。
広井良典・京都大学名誉教授との対談収録。


 「モノ・カネ」偏重の昭和型資本主義に固執した結果生まれた「失われた30年」を経て、いまや従来型の資本主義そのものが転換点を迎えています。本書は、科学技術や産業の次なる焦点が「デジタル」から「ライフ」へと広がりつつある中で、健康・医療、生活・福祉、食・栄養が成長軸となるという視点のもと、日本が打ち出すべき独自戦略を解説するものです。

 本書では、「今後は、生活者のウェルビーイング(心身の健康と幸福)を中心に据え、健やかで持続可能な社会を実現することが、政策や企業経営の中心課題となる」と捉え、「従来型の発想では応えられない社会課題の領域が急速に広がっており、DXや効率化といった発想を超えて、『誰の、どのようなライフに貢献するのか』という本質的な問いから、政策や企業経営を再設計するべき時代に来ている」と主張します。

 本書を通じて、日本社会の構造変化を踏まえ、社会課題解決ビジネスの台頭と、デジタルを超えた「ライフ」起点の価値創造としてのLX(ライフトランスフォーメーション)を提起し、ライフエコノミーが成熟社会の新たなフロンティアを切り拓くビジョンを示していきます。健康・医療の分野では、予防から生活支援まで患者中心医療への変革を論じ、病気中心から人生全体を支える全人的医療への移行と、その実現に向けた医療DX、加えて全人的ケア融合によるライフ・インフラ化の重要性を説きます。生活・福祉では、高齢化や地域格差、孤独・孤立など複雑な社会課題に対し、「共生・共助」を軸に福祉を再構築し、人と人のつながりと持続的な地域コミュニティを育むことを生活・福祉分野のLXの核心とし、デジタルを目的化するのではなく手段として活用すること、また顔の見える信頼関係が生活と福祉の質を左右することを説いていきます。さらに食と栄養の分野では、医療前段階の予防インフラと位置づけ、環境負荷を抑えつつ誰もが健康で豊かな食を享受できる食システムへの変革を通じ、医療費削減とライフエコノミーの経済的持続性向上を図る戦略を論じます。

 未来に向けた社会課題解決型の価値創造を、いかにして具体的なビジネスへと結びつけていくか――。これまでの豊富な事例や、現在進行形で芽生えつつある実例を挙げながら、分かりやすく解説。新たな価値創造を担う経営層・事業責任者や、ヘルスケア・福祉・食・環境分野の実務家、コンサルタント、公共政策・自治体の企画担当者などにとって、示唆に富む一冊です。

目次

第1章 デジタルを超えた「ライフ」を中心とした価値創造
第2章 健康・医療分野のLX
第3章 生活・福祉分野のLX
第4章 食・栄養分野のLX
第5章 対談――デジタルを超えて「ライフを基軸とした新しい社会」へ