内容紹介
「2位じゃだめなんでしょうか」このあまりにも有名な発言をきっかけに頓挫しかけた日本のスーパーコンピューター事業。紆余曲折のあげく完成したスパコン「京(けい)」は見事世界一を勝ち取った。しかし、それから約10年、スパコンのトップ争いは米中の独擅場となっていた。
「富岳(ふがく)」は「京」のスピリットと技術を受け継ぐ国産スパコンとして2020年に登場した。そしてスパコンの性能ランキング4つのすべてで2位に倍以上もの大差を付けて圧倒的1位となったのだ。スパコン史上、性能ランキングすべてで同時に1位になったのは富岳だけだ。
この10年間でスパコンの重要性は急激に高まった。特に人工知能の台頭など、計算力が国力に直結する時代がやってきたのだ。富岳の実力の一端は、コロナウイルスの飛沫のシミュレーションで知られるようになったが、本当の活躍はこれからだ。知られざるスパコンの世界を本書ではわかりやすく紐解いていく。
≪目次≫
第1章 コロナ禍の「秘密兵器」、富岳登場
第2章 「2位じゃだめなんでしょうか」が残したもの
第3章 富岳、世界初「スパコン4冠」への軌跡
開発者インタビュー
国家プロジェクトだから実現できたーー理研・松岡聡センター長
ベンチマークでの1番にはこだわらないーー理研・石川裕プロジェクトリーダーが貫いた理想
世界一で性能を証明できて本当によかったーー富士通・清水俊幸プリンシパルエンジニア
第4章 省電力スパコンで世界一、ベンチャー2社の明暗
第5章 量子コンピューターの衝撃