内容紹介
診断エラーと言えば、真正面から向き合うことを避けたくなるテーマだ。しかし、なぜ診断エラーに遭遇してしまったか、どうすればエラーを避けることができたのか ----を考え続けることなくして、臨床医の診断が完結することはない。本書は、真の診断力を身につけるために必要不可欠な「診断エラー学の極意」を、臨床医が実践例を通して書き下ろしたもの。そもそも診断エラーとは何なのかを問い直しながら、その実像を鮮明に。診断エラーからの学びを通して、その奥にある診断思考におけるバイアスの回避方法やエラー発生を包含した確度の高い診断戦略にたどり着くための道標を解説。さらに、多職種や患者・患者家族との連携、医療情報技術の活用、組織的な教育の実践、職場環境のリデザインなどに言及し、セーフティネットを幾重にも重ねていくマネジメントの重要性を説く。症例として、臨床現場で得られた教訓的な事例(現代版「苦いカルテ」)に基づく診断エラーを抽出・分析し、明日からの診療に役立つノウハウをテイクホームメッセージとしてまとめた。
日本でもようやく、日本病院総合診療医学会、日本内科学会などでワーキンググループが立ち上がり、診断エラー防止の機運が高まってきている。本書が診断エラー学を切り拓くきっかけとなり、診断推論の質向上、患者安全・質改善領域の向上に寄与することを目指している。
主な内容
●診断プロセスの神髄を知る
●そもそも診断エラーとは何なのか
●チーム医療 × 診断エラー
●情報技術 × 診断エラー
●組織 × 診断エラー
●教育 × 診断エラー
●どこかで起きていてもおかしくないエラー症例