内容紹介

・2030年の二酸化炭素削減目標の達成に向けた自動車・エネルギーの具体的な戦略を提示。
・カーボンニュートラル宣言を具現化する「技術的に正しい経営・開発戦略」が分かる。
・経営・開発トップが業界の“雰囲気”や根拠の薄い報道などに流されない確固とした判断を下せる。

本書は、カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)の達成、すなわち、二酸化炭素(CO2)の削減をしっかりと実現するために、技術的に正しいシナリオを提示します。元トヨタ自動車の技術者で環境技術戦略アナリストである著者が、世界のさまざまな情報を集めて技術的視点で徹底分析。その分析からCO2の削減に関する「技術的に正しいシナリオ」を導き出しました。そして、そのシナリオに基づいて、自動車およびエネルギー産業が採るべき具体的な経営・開発戦略を提示しています。
電気自動車(EV)や再生可能エネルギーをはじめ環境関連情報は根拠が薄い情報がはびこっています。世間や業界の“雰囲気”や恣意的な報道、利害関係者によるポジショントークといったものに流されると、いつの間にかカーボンニュートラルを実現する道筋から外れ、経営・開発戦略の方向転換を余儀なくされて、時間とコストを浪費しかねません。
技術的な根拠に基づく正しい判断を下したいと望む企業の経営トップや経営戦略部門、開発トップ、製品企画部門の方にお勧めします。

<特徴1>技術・環境の専門家による独自分析
トヨタ自動車の技術者出身で環境分野にも詳しい技術系アナリストが、世界から関連する情報を収集した上で、技術的に分析しました。単純にEVや太陽光パネル、風力発電を増やせば済むといった世間に流布する根拠の薄い情報を廃し、技術的に正しい根拠に基づくシナリオや経営・技術戦略を解説しています。

<特徴2>技術的に正しい経営・技術戦略が分かる
世界中の国や企業がカーボンニュートラル宣言を行ったものの、その裏には政治的、経営的な思惑が見え隠れします。そこで、カーボンニュートラル達成に向かう技術的に正しいシナリオを導出。それに沿って、エネルギー産業と自動車産業が採るべき経営・開発戦略を明らかにしました。技術的な根拠に基づく戦略であるため、途中で方向転換するリスクを最小限に抑えられます。

<特徴3>CASEに関する今後の戦略も解説
CO2削減の観点では、ハイブリッド車(HEV)やEVといった自動車のパワートレーンの電動化だけではなく、コネクテッドやMaaS(Mobility as a Service)、自動運転、そしてスマートシティーも重要となります。こうした自動車業界の大変革についても分析し、今後の戦略を提示しています。

<特徴4>全ての図表をPDFで提供
技術的に分析した結果である本書に掲載した図や表(約150点)について、全てをPDFファイルとしてCD-ROMに収録。社内の企画書やリポート作成時に引用できます。

<目次>
第1章 CO2低減は待ったなしの緊急課題
1.1 パリ協定での各国・地域政府のCO2削減目標と削減状況
1.2 甚大化する気候変動による自然災害
1.3 中国とインドのCO2削減なくして平均気温上昇1.5℃以下は困難
1.4 7年ぶりのIPCC第6次レポート
1.5 不発に終わったCOP26

第2章 CO2の45%削減目標に必須の燃料と電力のグリーン化
2.1 世界の1次エネルギー消費と電力のエネルギー構成
2.2 電力の再生可能エネルギー化だけでは2030年CO2 45%削減は困難
2.3 日本の稚拙な電力行政
2.4 転換逆転の発想、「オフグリッドプラント」
2.5 グリーン燃料の開発がCO2 45%削減の鍵を握る
2.6 オフグリッドプラントへの転換
2.7 CO2の45%削減とかみ合わない政府のエネルギー政策

第3章 各国・地域のCO2基準の妥当性と電動化戦略との整合性
3.1 世界の新車販売の動向
3.2 世界の新車販売台数の予測
3.3 各国・地域政府の甘いCO2基準と稚拙な電動化表明
3.4 新車で年率7%の削減には、全方位の改良が必須
3.5 各国・地域政府のガソリン車廃止、電動車拡大表明の裏にあるもの

第4章 主要自動車メーカーの電動化戦略と電動車販売動向
4.1 各国自動車メーカーが株価つり上げを狙うBEV拡大の表明
4.2 BEV拡大を表明するも実績が伴わない欧米メーカー
4.3 EUの規制対応状況と電動車の販売動向
4.4 欧州CO2基準への対応における自動車メーカーの抜け道
4.5 優遇なしでCO2基準対応できるHEVと優遇ありでも苦戦するBEV
4.6 欧州メーカーの電動車は主体がBEVからPHEVに代わる
4.7 HEVに舵を切った中国政府とNEV販売動向
4.8 BEVのこれからの主役はLSEV
4.9 持続可能なものとは言い難い各国のEV、PHEV補助金

第5章 あるべき技術戦略と各種の技術課題 エンジン車廃止、BEVの拡大は正しいか
5.1 自動車開発を取り巻く3重点課題
5.2 全方位開発を前提とした自動車の改良技術は多様だ
5.3 エンジン改良技術の将来動向 目指すは2030年に熱効率50%
5.4 車両の軽量化推進は大前提
5.5 BEVは課題が山積みでまだ製品と呼べるものではない
5.6 Liイオン電池の性能向上とコスト低減の両立は既に限界
5.7 全固体電池は2020年代の技術となり得るのか
5.8 各社の全固体電池の開発動向
5.9 電動車用電池の供給量の予測
5.10 BEVにも無視できない熱損失がある
5.11 BEVでは暖房時の航続距離の低下が避けられない
5.12 BEVとHEVでCO2削減に優位なのはどちらか
5.13 日本の2030年における最終エネルギー基本計画とBEVで必要な電力量
5.14 各国の政府が本来採るべき施策とは
5.15 エンジン車とxEVの総合比較および展開の難易度

第6章 同時進行で加速すべき自動車の全方位開発と燃料/エネルギーのグリーン化
6.1 電動車の品ぞろえはHEV、PHEV、LSEVを優先
6.2 平均気温上昇抑制目標の変更に伴うシナリオの修正
6.3 新車販売台数下方修正に伴うシナリオの修正
6.4 石油消費量の削減効果と微細藻類バイオ燃料、e-fuelの必要な供給量
6.5 2030年における各国地域の電動車比率
6.6 シナリオ達成の手段と実現性
6.7 全方位戦略とBEV傾注戦略、いずれのメーカーが勝者となるか

第7章 スマートシティー、MaaS、コネクテッド、自動運転のあるべき姿
7.1 日本連合での対応が必須、重要な2030年対応が
7.2 モビリティーを軸とした自動車産業の将来戦略
7.3 将来モビリティーのすみ分け
7.4 スマートシティー化の狙い
7.5 MaaSの狙い
7.6 コネクテッド技術の重要性
7.7 自動運転のあるべき姿
7.8 最新の自動運転技術動向

第8章 まとめ