内容紹介
F1ブームを巻き起こし、日本のモータースポーツを牽引――
日本人初のF1フルタイムドライバーを経て、レーシングチームの総監督。クールな語り口で、サーキットの臨場感たっぷりに来し方を振り返る言葉は、レースの未来、さらには人と車、車と社会の理想的な関係まで見通しています。
二輪、四輪と少年時代に車に魅入られ、プロの世界に身を投じるやたちまち頭角を現した中嶋さんが、いかにして「日本一、強い男」と呼ばれるまでになったか。カーレースは自動車メーカーの技術を試す場であると同時に、その先端技術に負けない身体能力、精神力がレーサーには求められます。まるで中嶋さんの身体の一部となった車はデリケートで繊細であり、モータースポーツの深遠さがひしひしと伝わってきます。
ロータスのチームメートとしてF1をともに走ったアイルトン・セナ、国内で死闘を演じた「日本一、速い男」星野一義さん、そして中嶋さんにとって大きな存在だった本田宗一郎さん……レースに、車に情熱を注いできた人たちとの交流秘話も満載です。
目次
巻頭カラー口絵8ページはじめに
第1章 助走
大好きな兄への劣等感/カートで始まったレース人生/山道で腕を磨く/登竜門
第2章 プロの世界
FJ1300で7戦7勝/星野一義さん/英国のF3参戦/希望と不安/かなった願い
第3章 F1挑戦
ブラジルGPでF1デビュー/英国GPで4位に/鈴鹿に〝凱旋〟/フィジカルの重要性/マシントラブル/おふくろのこと
第4章 ロータスからティレルへ
雨のナカジマ/セナとプロストの〝戦争〟/最後の鈴鹿/本田宗一郎さんのこと/新しい波
第5章 引退、自分のチームを持つ
3本柱/チームをつくる/セナの死/幻のティレル買収/英国暮らし
第6章 これからのレース、これからの僕
レーシングスクールの校長/2人の息子/レースの未来
おわりに